●糖尿病とは?
糖尿病は、インスリンが十分に働かなくなり血糖値が高い状態が続く病気です。血糖値やHbA1cから診断します。日本では「糖尿病が強く疑われる人」や「糖尿病の可能性が否定できない人」は約2,000万人いると推計されています。
●糖尿病のリスクは?
血糖値が高い状態が続くと、全身の血管に負担がかかり、網膜症、腎症、神経障害、脳梗塞、心筋梗塞のリスクが高くなります。また、がん、感染症、歯周病、骨折、認知症、筋力低下のリスクも上昇する可能性があります。これらが重なると生活の質(QOL)の低下や寿命に影響を与えることがあります。
●糖尿病治療の目標は?
糖尿病治療の目標は、合併症を防ぎ、健康な人と同じ生活の質(QOL)と寿命を目指すことです。血糖を正常に近づけると血管障害のリスクが減るとされ、特に発症初期からのコントロールが重要です。低血糖への配慮も必要であり、年齢、これまでの病気、使用している薬剤など総合的に判断して、HbA1cを指標に治療目標を設定することが多いです。
●HbA1cって?
糖尿病の診断や治療目標の設定に使われる指標の1つがHbA1cです。血液中で酸素を運ぶヘモグロビン(Hb)に糖が結びついたものをHbA1cと呼びます。これにより過去1~2か月間の血糖値の状態を把握できます。
●血糖を下げるには?
治療の基本は食事療法と運動療法です。必要に応じて薬物治療を行います。
- 減量: 内臓脂肪型肥満ではインスリンの働きが低下するため、カロリー摂取を控えて体重を減らしましょう。
- 炭水化物制限: 炭水化物を適度に減らします。主治医と相談しながら短期間で取り組むことを勧めます。
- 低GI食品の選択: 玄米や全粒粉のパン、リンゴなどを取り入れましょう。
- 運動療法: 週150分程度の有酸素運動を無理なく続けることが重要です。
●他に注意すべきことは?
- 胸が突然痛くなる、手足が動かなくなる、呂律が回らなくなるなどあれば、すぐに医療機関を受診してください。
- 網膜症や歯周病の評価・治療のために眼科や歯科の定期的な受診をおすすめします。
- 足の傷が治りにくくなることがあります。足の保護や傷ができた場合は早期受診を心がけましょう。
- 糖尿病は母児の健康にも影響します。妊娠を考えている方は、治療を徹底しましょう。
●最後に
糖尿病は早期治療が重要です。健診で糖尿病が疑われた際には、早めに受診してください。
参考 日本糖尿病学会 編・著 糖尿病診療ガイドライン2024 南江堂 2024
日本老年医学会、日本糖尿病学会 編・著 高齢者糖尿病診療ガイドライン2023 南江堂 2023
