●血圧とは?
血圧は、心臓が血液を送り出すときに血管にかかる圧力を指します。この数値は血液の量、血管の硬さ、心臓の力によって変わります。血圧が高い状態が続くと、血管に負担がかかり、動脈硬化が進行します。その結果、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気のリスクが増加します。
●高血圧とは?
診察室で測った血圧が140/90mmHg以上、家庭で測った血圧が135/85mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。特に年齢が上がると高血圧の割合が増え、75歳以上の多くの方が高血圧に該当します。日本では約4300万人が高血圧と推定され、そのうち適切に治療を受けている方は少ない状況です。
●高血圧が引き起こすリスク
高血圧は脳卒中や心筋梗塞の主要な原因であり、腎臓病や認知症のリスクを高めます。また、症状がない場合でも血管や臓器にダメージが進行していることがあるため、早めの診断と治療が欠かせません。
●血圧を測る方法
血圧測定には「診察室で測る方法」と「家庭で測る方法」があります。特に家庭血圧は日々の変化を把握するのに適しており、診察室でだけ高くなる「白衣高血圧」や家庭だけで高くなる「仮面高血圧」の発見にも役立ちます。
測定時は、静かでリラックスできる環境を整えましょう。朝起床後と夜寝る前の測定が基本ですが、生活に応じて測定するタイミングを調整してください。
●血圧を下げるには?
高血圧の予防・改善には生活習慣の見直しが重要です:
- 減塩:1日6g未満を目標にしましょう。外食や加工食品の塩分に注意してください。
- 運動:軽いウォーキングやストレッチを無理のない範囲で続けることで効果が期待できます。
- 体重管理:体重を1kg減らすと、血圧が約1.1mmHg下がるとされています。
- 節酒・禁煙:飲酒は適量を守り、タバコは血管に大きな負担をかけるため禁煙を心がけましょう。
生活改善でも効果が不十分な場合には降圧薬の使用を検討します。
血圧の目標は、糖尿病や脳卒中がない75歳以上の方では家庭血圧が135/85mmHg未満、それ以外の方は125/75mmHg未満を目指します。詳しい目標値は、診察や検査の結果に応じて決めていきます。
●最後に
高血圧は放置すると深刻な病気につながる可能性がありますが、適切に対処すればリスクを大幅に下げることができます。家庭で測った血圧の記録を持参して医療機関を受診することで、より的確な治療が可能になります。血圧をしっかり管理し、健康な生活を送りましょう。
参考 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:「高血圧治療ガイドライン 2019」ライフサイエンス出版
