気管支喘息とは?
気管支喘息は、空気の通り道である気道に炎症が起こり、過敏になって狭くなる病気です。
その結果、咳や息苦しさ、ゼーゼーという喘鳴(呼吸時の音)が出現します。
日本では小児から高齢者まで幅広くみられ、最近の調査では小児の約8〜11%、成人の約9〜10%が何らかの喘息症状を経験しています。
季節の変わり目、風邪、運動、花粉、ほこりなどがきっかけで悪化することがあります。とても身近な病気ですが重症化すると命に関わることもあります。
病気の仕組みとリスク
喘息は遺伝的要因と環境要因が組み合わさって発症します。
アレルギー体質の方に多くみられますが、アレルギーがない方にも起こります。
慢性的に「気道炎症」が続くことで気道が硬くなり、元に戻りにくくなるため、炎症を抑えることが治療の鍵となります。
診断と検査
診断は以下を組み合わせて行います。
- 問診(症状や既往歴の確認)
- 聴診(ゼーゼー音の確認)
- 呼吸機能検査(肺活量や空気の流れを評価)
- 気管支拡張薬反応検査
- ピークフロー測定(呼気の勢いを調べる簡便な方法)
治療の中心は吸入ステロイド薬
喘息治療は長期管理と発作時の対応に分けられます。
- 吸入ステロイド薬(ICS):最も重要な薬で、気道の炎症を抑え、発作を予防します。
- 長時間作用型気管支拡張薬(LABA):中等症以上でICSと併用します。
- ステップアップ治療:重症例では薬を追加し、生物学的製剤も選択肢となります。
吸入ステロイド薬を使わずに放置すると、呼吸困難が悪化し、命に関わる重症発作を起こすことがあります。
➡ 早めに治療し、またよい状態を維持することが大切です。
咳喘息について
咳喘息はゼーゼー音を伴わないものの、気管の炎症で長引く咳を起こす病気です。
日本では長引く咳の50%以上を占めるとも言われています。
- 治療は吸入ステロイド薬が基本です。
- 咳自体は吸入により数日で改善することが多いが、炎症が落ち着くには3か月〜1年かかることもあります。
- きちんと治療しないと数年で約30%が気管支喘息に移行するとの報告もあります。
➡ 長引く咳が続く方は早めに受診して診断・治療を受けることが重要です。
受診の目安
受診をおすすめする症状
- 咳が長引く(特に夜間・早朝)。
- 息苦しさがある。
- 運動や冷たい空気で咳が悪化する。
救急受診が必要な症状
- 息苦しくて会話や歩行ができない。
- 吸入薬などを使っても1時間以内に改善しない。
当院でできること
当院では、患者さんの家庭での症状や吸入薬の使用状況を確認しながら診療を行っています。
総合内科専門医として、喘息発作の誘因となる感染症含めて急性期〜慢性期まで幅広く対応いたします。
まとめ
気管支喘息は適切に治療すれば日常生活を快適に過ごせますが、放置すると命に関わる重症発作につながります。
「咳が長引く」「夜間に息苦しい」などの症状がある方は、早めの受診で正確な診断と治療を受けましょう。
- 総合内科専門医・循環器専門医による診療
- 喘息と生活習慣病の合併症チェックも可能
- 津山市二宮に立地、駐車場完備
- 中国自動車道院庄インターから車で5分、国道53号線すぐ
地域の皆さまが安心して過ごせるよう、丁寧な診療を行っています。
参考 「喘息予防・管理ガイドライン2024」作成委員会:喘息予防・管理ガイドライン2024(株式会社協和企画)

よくある質問
Q1. 大人になってから喘息になることはありますか?
A: はい。成人でもストレスやアレルギー、風邪などをきっかけに喘息を発症することがあります。「ゼーゼー」、「ヒューヒュー」といった喘鳴がある場合はもちろん、今までにない息切れが続いていたり、運動や冷たい空気で悪化する咳があるときは受診を検討しましょう。
Q2. 咳だけが続く場合も喘息の可能性がありますか?
A: あります。特に夜間や早朝に咳が長引く場合は咳喘息や気管支喘息の可能性があります。咳喘息であれば吸入により症状改善が期待できますし、しっかり治療を行うことで喘息への移行も予防できますので医療機関に相談しましょう。
Q3. 吸入ステロイドは副作用が心配です。大丈夫ですか?
A: 吸入ステロイドは局所で作用し、全身性の副作用は少ないとされています。定期的な使用で発作の予防や重症化にとても効果的であり、喘息治療の基本となります。喘息と診断された場合は投薬のメリットが十分に上回りますので、使用しましょう。