肺炎球菌とワクチン
肺炎球菌は、肺炎のほか、血液の感染症(菌血症)や髄膜炎などの重い病気を起こすことがあります。
特に高齢の方や、心臓病・肺の病気・糖尿病・脾臓摘出後などの方では、重症化しやすくなります。
現在、高齢者で使われる主な肺炎球菌ワクチンには、次の3種類があります。
- PPSV23(ニューモバックスNP)
- PCV20(プレベナー20)
- PCV21(キャップバックス)
それぞれに特徴があります。
1. ワクチンで期待される効果
肺炎球菌ワクチンは、すべての肺炎を完全に防ぐワクチンではありません。
ただし、肺炎球菌による重い感染症(侵襲性感染症)や、肺炎球菌が原因となる肺炎の一部を減らすことが期待されます。
PPSV23(ニューモバックスNP)
期待される主な効果
- 発売から長い年月が経っており蓄積されたデータが多い。
- 肺炎球菌による「重い感染症を減らす効果」が確認されています。
- 年数とともに予防効果が落ちることが確認されています。
- 2025年度までは高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種に使用されていました。
PCV20(プレベナー20)
期待される主な効果
- 2024年8月に発売。より安定した長期的な免疫反応が期待されています。
- 肺炎球菌による「重い感染症の予防」が期待されます。
- 2026年度から高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種に使用されます。
PCV21(キャップバックス)
期待される主な効果
- 2025年10月に発売。より安定した長期的な免疫反応が期待されています。
- 肺炎球菌による「重い感染症の予防」が期待されます。
- 最近の成人で問題になっている血清型をより意識して作られており、現在流行している型への幅広い対応が期待されます。
2. それぞれがカバーする「血清型」の違い
肺炎球菌にはたくさんの種類があり、これを血清型といいます。
ワクチンごとに、カバーできる血清型が違います。
2024年の日本のデータでは、肺炎球菌による重い感染症では
- PCV21では約80%
- PCV20とPPSV23では約55〜57%
がカバーされていたと報告されています。
3. 効果はどのくらい続くの?
PPSV23(ニューモバックスNP)
PPSV23は、接種後しばらくは効果が期待できますが、年数とともに弱くなりやすいことがわかっています。
これまでの報告では
- 接種後2年未満:比較的高い
- 2〜5年:低下
- 5年以上:さらに低下
で減弱していくとされており、5年くらいが一つの目安と考えられてきました。
PCV20(プレベナー20)・PCV21(キャップバックス)
PCV20やPCV21は、結合型ワクチンで、理論上はPPSV23より免疫が長く続きやすいと考えられています。
ただし、新しいワクチンのため、何年しっかり効くかをはっきり示す長期データはまだ十分ではありません。
現在は、基本的に1回接種でよいとされています。
4. まとめ
PPSV23(ニューモバックスNP)
- 重い肺炎球菌感染症の予防効果が確認
- ただし、効果は年数とともに弱くなりやすい
PCV20(プレベナー20)
- 1回接種で完結
- 2026年度から高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種に使用
PCV21(キャップバックス)
- 1回接種で完結
- 最近の成人で増えている血清型への効果が期待される
さいごに
65歳以上の方、心疾患・肺疾患・脾臓摘出後などの持病がある方は、肺炎球菌による重症感染症のリスクのため注意が必要です。
肺炎球菌ワクチンは、重い肺炎球菌感染症や肺炎の一部を予防することが期待されます。
対象となる方や接種方法などお気軽にご相談ください。
