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心房細動とは?
心房細動は心房が正常に動けず、細かく震えるだけになる不整脈の一種です。そのため脈が不規則になり、心臓全体の動きも乱れることがあります。日本では高齢化に伴い、心房細動の患者が増えており、約1%の人に見られるとされています。特に、男性や高血圧、糖尿病、心疾患、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺の病気、飲酒、喫煙がリスク要因とされています。
心房細動には、一時的な発作性心房細動と、7日以上続く持続性心房細動があります。多くの場合、発作性から始まり、持続性へ進行します。発作時に症状が出る方もいれば、無症状の方もいます。

心房細動が引き起こす問題
心房細動があると、血液の流れが悪くなり、心臓内で血の塊(血栓)ができやすくなります。この血栓が脳に流れると「脳梗塞」を引き起こします。また、心臓の機能低下による「心不全」や、動悸の原因にもなります。そのほか、認知症や入院、死亡のリスクが増えることも報告されています。

治療方法
心房細動の治療は主に2つの方向性があります。不整脈を抑える治療と、不整脈はありながらも心拍数をコントロールし心臓への負担を減らす治療です。また、最近ではカテーテルを使った「アブレーション治療」も一般的になっています。この方法は、発作時の症状がない方でも将来のリスクを減らすために勧められる場合があります。
一方で、脳梗塞の予防も非常に重要です。特に、75歳以上や高血圧、糖尿病、心不全などの疾患を持つ方には、血をサラサラにする抗凝固薬が勧められます。最近では発作性心房細動よりも持続性心房細動が脳梗塞のリスクが高いこともわかってきています。また、血栓ができやすい部位を閉じる「左心耳閉鎖術」により、脳梗塞を予防しつつ薬による出血リスクを減らすことも可能です。

最後に
心房細動は高齢化とともに増える不整脈です。心臓や全身に様々な影響を与えるため、早期の診断と予防が重要です。もし動悸や脈が乱れる感じがする場合は、病院での検査をお勧めします。

参考           日本循環器学会/日本不整脈心電学会.不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版).
日本循環器学会/日本不整脈心電学会.2020年改訂版不整脈薬物治療ガイドライン.
日本循環器学会/日本不整脈心電学会.2021年JCS/JHRSガイドラインフォーカスアップデート版
日本循環器学会/日本不整脈心電学会.2024年JCS/JHRSガイドラインフォーカスアップデート版不整脈治療.

心房細動