血圧とは?
血圧は、心臓が血液を送り出すときに血管へかかる圧力のことを指します。この数値は
- 血液の量
- 血管の硬さ
- 心臓の収縮力
によって変化します。血圧が高い状態が続くと、血管に負担がかかり、動脈硬化(血管が硬く狭くなる状態)が進行します。その結果、脳梗塞や心筋梗塞などの病気のリスクが高まります。
高血圧症の診断基準
- 診察室血圧:140/90mmHg以上
- 家庭血圧:135/85mmHg以上
このいずれかに当てはまると「高血圧症」と診断されます。特に75歳以上では多くの方が高血圧症であるという報告もあります。
日本全体では約4300万人が高血圧とされますが、未治療の方も多いとされています。
高血圧症のリスク
高血圧症は「サイレントキラー(自覚症状が少ないまま進行する病気)」とも呼ばれます。
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
- 心筋梗塞・狭心症
- 慢性腎臓病
- 認知症
など、さまざまな合併症を引き起こす危険があります。症状がなくても血管や臓器はダメージを受け続けるため、早めの受診と治療が重要です。
血圧測定のポイント
血圧は「診察室」と「家庭」で測る方法があります。特に家庭血圧は毎日の変化を把握しやすく、
- 診察室だけで高い「白衣高血圧」
- 家庭だけで高い「仮面高血圧」
の発見にも役立ちます。
家庭血圧の測り方
- 朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食前、服薬前
- 夜:就寝前
静かな環境で、座って1〜2分休んでから測定しましょう。
血圧を下げる生活習慣
血圧が高い場合はまずは生活習慣の改善を試みましょう。
- 減塩:1日6g未満を目標に。加工食品や外食の塩分に注意しましょう。
- 運動:軽いウォーキングなどの有酸素運動(軽く息があがるくらいの運動)を継続しましょう。
- 体重管理:体重1kg減で血圧が約1.1mmHg低下するという報告があります。
- 節酒・禁煙:お酒は控えめに、タバコは血圧上昇のほか動脈硬化の原因にもなるため禁煙しましょう。
生活改善でも不十分な場合は、降圧薬(血圧を下げる薬)を使用します。
目標血圧
- 75歳以上・糖尿病や脳卒中の既往がない方:家庭血圧135/85mmHg未満
- それ以外の方:125/75mmHg未満
※目標値は年齢・合併症・検査結果に応じて調整します。
受診の目安
- 家庭血圧で135/85mmHg以上が続く
- めまい、頭痛、動悸(どうき)、息切れがある
- 健診で血圧高値を指摘された
こうした場合は内科を受診しましょう。
当院でできること
高血圧症の診療では、家庭血圧の記録を確認しながら、生活習慣の改善や薬の調整を行い、一人ひとりに合わせた治療を心がけています。
また、循環器専門医として、不整脈・心不全・狭心症などの心臓病の合併がないかも丁寧に確認します。高血圧症だけでなく、心臓や血管の病気まで幅広く対応できるのが特徴です。
当院は津山市二宮にあり、駐車場完備で、中国自動車道・院庄インターから車で5分、国道53号線を降りてすぐの立地です。津山市内はもちろん、真庭市や美作市など県北地域からも通いやすい環境です。
まとめ
高血圧症は放置すると脳卒中や心筋梗塞につながる可能性がありますが、早めの受診と適切な治療でリスクを大きく減らすことが可能です。
総合内科専門医・循環器専門医として、生活習慣病から心疾患、感染症まで幅広く対応し、地域の皆さまの健康を支えてまいります。
参考 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:「高血圧治療ガイドライン 2019」ライフサイエンス出版

関連する病気
よくある質問
Q1. 高血圧は自覚症状がなくても治療が必要ですか?
A: はい。高血圧は多くの場合、自覚症状がありませんが、脳卒中や心筋梗塞、腎不全などの重大な病気のリスクを高めるため、早期からの治療が重要です。ご家庭に血圧計がある場合は一度測定してみましょう。その際には運動後などではなく、安静時に測定しましょう。
Q2. 薬を飲み始めたら一生続けなければならないのですか?
A: 必ずしもそうとは限りません。生活習慣の改善や高血圧の原因となる疾患(睡眠時無呼吸症候群など)の治療によって薬を減らしたり中止できる場合もあります。ただ生活習慣だけではなく、遺伝など体質による影響が強いときもあります。自己判断で中断せず、医師と相談して調整しましょう。
Q3. 家庭で測る血圧と病院で測る血圧が違います。どちらを参考にすべきですか?
A: 家庭血圧の方が日常の状態に近く、より正確な指標とされています。毎日同じ時間帯に測定し、記録を残すことが大切です。また収縮期血圧(高い方の血圧)と拡張期血圧(低い方の血圧)ではいずれも重要ですが、どちらかというと収縮期血圧のほうが病気との関連が強いとされています。
