お腹の赤ちゃんへの贈り物
赤ちゃんは、お母さんのお腹の中で、一つの細胞から10か月かかって、外の世界で生きていけるようになって出てきます。その間、沢山の贈り物を、胎盤を通して、お母さんからもらっています。今回、もう一つお母さんから赤ちゃんへの贈り物が増えました。
RSウイルス感染症は、2歳までに、ほとんどの子どもが罹る感染症です。しかし、6か月までの赤ちゃん、特に生まれたばかりの赤ちゃんが罹ると重症化します。入院が必要になり、人工呼吸器をつけることもあります。
感染すると、はじめは鼻水や軽い咳です。軽い症状で終わることが多いのですが、酷くなると発熱、連続した咳、そして、ゼイゼイと呼吸が早くなります。
残念ながら、現在、RSウイルスに効く薬はありません。赤ちゃんの抵抗力が頼りです。
このRSウイルスに対するワクチンが、妊娠中のお母さんに、定期接種として、4月1日から始まります。母子免疫ワクチンです。
妊娠中のお母さんが接種することで、母体内で作られた抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行し、生まれた赤ちゃんが生まれた時から予防効果を得ることができるワクチンです。
接種して14日ごろから、お母さんの体の中に抗体が産生されはじめ、お腹の中の赤ちゃんに移っていきます。従って、分娩の14日前までに接種を受けないと十分な効果が得られません。
妊娠28週0日から36週6日までの妊婦さんが定期接種の対象となります。
RSウイルスに罹ったことがあるお母さんや、前の妊娠中にワクチンを受けていても接種できます。
感染の予防効果は5~6割、重症化予防効果は8~7割とされています。生後6か月近くまで効果ありです。残念ながら完全に罹らなくすることはできません。
主な副反応として、疼痛、頭痛、筋肉痛が30%前後にあるようです。どの予防注射も同じですが、アレルギー反応が出る可能性はゼロではありません。また、妊娠高血圧症候群の発症がわずかに多くなるという報告もあります。
定期接種となりましたから、接種は無料です。また、接種できる医療機関は限られていますから、産科の先生に相談してください。
生後3か月までの赤ちゃんが、コツコツと咳をしだすと、小児科医は、一番にRSウイルス感染症が心配になります。
母子免疫ワクチン、少し痛いようですが、お腹の赤ちゃんへの贈り物として、接種を考えてください。
