NO. 267 注射恐怖症 平成30年12月 インフルエンザ予防接種の季節です。外来で、子どもたちに抵抗されながら、予防接種をしています。時には、蹴られてしまうこともありますが、それも、また、楽しい小児科外来です。 インフルエンザワクチンに関する特集(外来小児科:VOL.21No.21)に“ワクチン接種時の疼痛を低減する”と題した論文がありました。 一般成人の21%は注射に対する不安を訴え、8.2%は重度の「注射恐怖症」だそうです。子どもの頃の恐怖と疼痛の経験から、「注射恐怖症」になるのではとしています。「お母さんも嫌いなの」と言いながら、外来で子供と一緒に予防接種を受ける、頑張っているお母さんがいます。 論文に載っている、いくつかの疼痛低減法を紹介いたします。 @最も痛いワクチンを最後にする 最近は、何本かのワクチンを同時にすることが多くありますから、痛くなさそうなワクチンから順に接種すると、全体の痛みは少なくなるそうです。 A刺す前の触覚・圧覚刺激 何年か前の「今日も元気で」(平成26年6月、No215“痛いの、痛いの、とんでいけ!)で紹介しましたが、痛い所をさすってあげると痛みが和らぐとされています。注射する部分を前もってさするか、軽く押さえてあげると痛みが軽減するようです。 B「痛くないよ」は逆効果 「じっとしていれば痛くないよ」「もう終わっているよ」「大丈夫だよ」は、残念ながら逆効果だそうです。痛みを感じた子供は、医師やお母さんに騙されたと思ってしまい、その後のワクチン接種時に非協力的となるとしています。やはり、少しは痛いのです。 C深呼吸(シャボン玉、風車などの機材を用いる) 息を吐かせる、咳をさせると効果があるそうです。単に息を吐くだけでなく、シャボン玉や風車を使った深呼吸が効果ありだそうです。 D「話が違う」は良くない 予防接種の事を知らずに受診することがあります。「何か変だな」「いつもと違う」と感じながら診察室に来て、「だまされた」「注射じゃないか」となり大暴れになることもあります。残念ながら、小児科医も共犯者になります。出来れば、「今日は、予防接種だよ」と言い聞かせて受診してください。話すと絶対に来なくなる子どもへは「嘘も方便で」しょうか。 |