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NO. 215

“痛いの、痛いの、とんでいけ!”

平成26年6月

“痛いの、痛いの、とんでいけ!”で、どうして痛みが消えるのか? と

 日本小児心身医学会編集の「小児心身医学会ガイドライン集」の「Wくり返す子どもの痛みの理解と対応ガイドライン」に載っていました。

  皆さん、子どもが、こけたり、頭をぶつけたりすると、“いたいの、いたいの、とんでいけ!”と痛いところをなでてあげながら、“おまじない”をかけた経験は必ずあると思います。この、“おまじない”について、医学のガイドライン集が取り上げるわけですから、かなり有効な“おまじない”のようです。

  痛みが消える現象について2つの機序が考えられています。“おまじない”の医学的な分析です。

 一つは、「なでる」事により、痛みを抑える神経の働きが活発になります。痛みを感じるのは、痛みを受けた所から痛みを伝える神経が痛みを脳に伝えるからです。そして、「なでる」とこの痛みを伝える神経の働きを抑える神経が刺激され、痛みが抑えられます。痛いところを「なでる」効果が医学的に証明されているのです。

 二つ目は「プラセボ」効果です。プラセボとは、本物の薬のように見えるが、効く成分が入っていない偽薬(にせぐすり)の事です。新しい薬の効き目を調べる時に、本物の薬と、プラセボ(薬)を別々の人に投与して比べるのです。投与する医師も、薬を飲む人もどちらの薬が入っているか知らされていません。当然、薬を飲む人は、了解のうえでどちらか分からない薬を飲んでいます。不思議なことに、このプラセボに、ある程度効果があるのです。これをプラセボ効果と呼びます。プラセボとはラテン語で「私は喜ばせる」だそうです。

 「これは、痛みを取る薬です」とか「痛みを和らげる処置です」と言って、プラセボ(薬)を投与したり、処置をすると、実際に、頭の中で痛みを軽減するネットワークが働き、麻薬のような痛みを抑える物質が頭の中で増えるとされています。

 当然、逆プラセボ効果もあります。注射器を見るだけで、子どもたちは本当に痛いのです。

 医学的に証明されている「痛いの、痛いの、とんでいけ!」です。子ども達に、なでながら、「痛いの、痛いの、とんでいけ!」のおまじない、かけてあげてください。

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