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NO. 330

ABC試験とスペード試験とミルクアレルギー

2024年5月

 生後8か月の赤ちゃんのお母さん:「生後1か月前後までは、普通の粉ミルクを飲んでいたんですが、どうも、ミルク入りの離乳食を食べて、ぶつぶつが出たようです。ミルクアレルギ―でしょうか?」

 食物アレルギーに関して、分からないことが沢山ありますが、少しず見えてきています。特にミルクアレルギーに関して、

 @ 赤ちゃんの発達によって、アレルギーになりやすい年齢がある(ABC試験)

 A 食べないと食物アレルギーになりやすい(スペード試験)   です。

@ ABC試験

 生後3日目までに、普通の粉ミルクを飲んだ赤ちゃんと、アレルギーの起こらないミルク(アミノ酸ミルク)を飲んだ赤ちゃんが、2歳になった時にミルクアレルギーが有るか無しかを調べた試験です。

 普通の粉ミルクを飲んだ赤ちゃんに2倍の頻度でミルクアレルギーが有りました。

 新生児期は腸の機能が未熟であったり、腸の中の環境が十分に整っていなかったりで、新しい食べ物に関しては注意が必要です。

A スペード試験

 トランプのゲームではありませんが、スペード試験というのがあります。沖縄のこども達を対象にした試みです。生後1〜2か月のこども達に、少なくとも1日に10mlの普通の粉ミルクを飲ませ続けると、母乳だけ又は母乳と大豆乳を飲んだ子供に比べてミルクアレルギーが少なかったという試験です。

 「ABC試験では、普通の粉ミルクを飲まなかった赤ちゃんのほうがアレルギーが少なかった。スペード試験では普通の粉ミルクを飲んだ赤ちゃんの方がアレルギーが少なかった。」と正反対の結果ではないかと思われますが、ABC試験では生後3日目までの新生児であり、スペード試験では生後1〜2か月の赤ちゃんです。

 新生児期、特に生後1週間までの早期新生児期の赤ちゃんのお腹は非常に敏感で未成熟です。アレルギー反応を起こしやすそうな食物は食べないほうがよさそうです。今回の話では普通の粉ミルクという事です。そして、ここが大事なところですが、一度お腹に入った食物は少しずつでいいから食べ続けることが、食物アレルギーの予防になるという事です。

 新生児期に、普通の粉ミルクを飲んだ場合には、続けて少しでいいから粉ミルクを薬と思って飲み続けることが、アレルギーの予防になるかもしれません。

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