NO. 313 母乳栄養児にはサプリメントとして育児用粉ミルクを2022年10月 母乳栄養には大きな利点があり、WHO(世界保健機構)は、少なくとも生後6か月までは完全母乳栄養とし、2歳かそれ以上まで適切・安全な補完食とともに母乳栄養を継続することを推奨しています。 日本では、一歳過ぎて母乳を飲んでいたら、「まだ、飲んでいるの」と言われそうですが、世界的には、一歳過ぎても子供にとって母乳は重要な栄養源です。 しかし母乳栄養には鉄欠乏の問題があります。母乳中の鉄の含有量は、育児用粉ミルクの1/20程度とされています。特に、日本では母乳栄養児の鉄不足の割合が高く、生後10か月児の母乳栄養児の過半数が鉄不足の状態だとされています。 乳児期の赤ちゃんの脳には鉄が必要です。鉄不足があると、脳細胞が変形して脳の成熟・発達に影響があるとされています。特に生後3〜18か月の間が重要です。 生後6ヶ月ごろから、赤ちゃんの体の中の鉄の総量は急激に減少します。鉄の少ない母乳栄養の場合には、離乳食で鉄の補給を考えなくてはなりません。 鉄分の多い食材としては 生後5〜6ヶ月:小松菜、ホウレンソウ、卵黄、きな粉 生後7〜8か月:納豆、高野豆腐、まぐろ(赤身)、かつお、シーチキン、のり 生後9〜11か月:貝類、レバー(鶏・豚)、赤身肉(牛・豚)、ひじき などがありますが、鉄分の多い育児用粉ミルクを離乳食に使用することが薦められます。 育児用粉ミルクには、母乳の約20倍の鉄が含まれています。一方、牛乳には母乳の半分以下の鉄しかありませんから、育児用粉ミルクの代わりにはなりません。牛乳は一歳過ぎてから飲ませてください。 「ホウレンソウを湯がいてペースト状にして粉ミルクを加える。白身魚やツナ缶を使った料理に粉ミルクを加える。パンがゆで粉ミルクを使用する。」など、離乳食で粉ミルクを使用できる料理では積極的に試してください。ミルク味で赤ちゃんの食も進むかもしれません。 しかし、初めて粉ミルクを食べるときには、食物アレルギーに注意が必要です。お兄ちゃん・お姉ちゃんが食物アレルギーであったり、アトピー性皮膚炎がひどいときには、最初の“ひとさじ”には注意してください。医師へ相談も必要かと思います。逆に、早期から、ミルクタンパクを摂取すると、ミルクアレルギーの予防になるともされています。 母乳栄養児には、鉄の不足の可能性があります。離乳食で育児用粉ミルクの使用を考えてください。 |