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NO. 309

食物アレルギーの予防

 〜卵・牛乳はどうしたらいいのか〜

2022年6月

 子どもの食物アレルギーの原因では、卵が一番多くなっていますが、アレルギーが怖いからと言って、いつまでも卵を食べないわけにはいきません。

 今回は、小児の食物アレルギー原因の2大食品である卵と牛乳のアレルギー発症予防のため、“ 卵・牛乳はどうしたらいいのか ” です。

 1980〜1990年代、厚労省の「離乳の基本」で「離乳の開始は生後5か月頃」「卵黄も生後5か月頃から開始してよい」とされていました。

 2000年代に入り食物アレルギーの有病率が上昇し、2007年に発表された「授乳・離乳の支援ガイド」では離乳の開始は生後5〜6ヶ月ですが、卵黄を含めた鶏卵の摂取開始は生後7〜8か月からと、卵黄の開始がおそくなっています。

 しかし、その後の研究で、食べることが食物アレルギーの予防になると考えられてきました。「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)」では「生後5〜6ヶ月頃から固ゆで卵黄の摂取を試みる」と、卵黄の摂取開始が40年前の「離乳の基本」にもどっています。

 このように、現在では、食物アレルギーの予防には、食べることが大事である、となっています。また、湿疹やアトピー性皮膚炎があると食物アレルギーを発症しやすくなりますので、皮膚の治療をしっかりする必要もあります。

  ですが、「支援ガイド(2019年改訂版)」のように、「生後5〜6ヶ月頃から固ゆで卵黄の摂取を試みる」です。また、湿疹・アトピー性皮膚炎や、家族の食物アレルギーなど、食物アレルギーのリスクがある子どもでは、卵黄をベビースプーン1杯分、または卵白を米粒1つ分(0.01〜0.03g)から開始が提案されています。

 牛乳 アレルギーの予防に関しては、最近、多くの研究が発表されています。
そして、生後3日間がカギとなっています。生後3日間に人工乳を飲んだ赤ちゃんは、どうも、牛乳アレルギーが発症しやすいのではとなっています。そこで、人工乳を飲んだ赤ちゃん、特に生後3日間に人工乳を飲んだ赤ちゃんは、アレルギー症状が出なければ、少しでも、具体的には1日に10mlの人工乳を1週間に5日は飲んでくださいです。母乳だけで足りているようでも、薬と思って、1日に10mlの人工乳です。

 食べ始めるときに、食物アレルギーの血液検査が必要かどうかは、結論は出ていません。例えば、卵に対する検査が陽性というだけで、摂取開始を後らせてしまうのは、食べることが食物アレルギーの予防になるという事に反してしまい、卵アレルギーを発症することになってしまう危険があるからです。

 食べる前に、心配なことがあれば、まず、かかりつけ医師に相談してください。

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