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NO. 302

新型コロナウイルス感染症(14)

2021年11月

 日本では、新型コロナウイルス感染症の第5波は8月をピークに減り続けています。世界に類を見ない状況です。このまま収束して欲しいのですが。

 100年前のパンデミックである「スペイン風邪」と今回の「新型コロナパンデミック」を比べてみました。

 まず、「スペイン風邪」ですが、日本では1919年8月から1921年7月までの3年間で3回の流行がありました。基本的にはインフルエンザですから、冬季を中心とした流行でした。

 第1回の流行で、約2100万人の感染者で約26万人の死亡者で死亡率は1.22%、第2回の流行で、約240万人の感染者で約13万人の死亡者で死亡率は5.29%、第3回の流行で、約22万人の感染者で約3700人の死亡者で死亡率は1.65%でした。

 第1回の流行で、総人口(約5600万人)の37.3%が感染しました。

 「新型コロナウイルス」では、発生後約2年間で、日本では約170万人の感染者です。総人口(約1億2千万人)の1.4%が感染しました。そして、約1万8千人方が亡くなられました。死亡率は1.06%です。

 「スペイン風邪」の第2回の流行では、感染者数が第1回に比べ10分の1に減っていますが、死亡率は上昇しています。第2回の流行で、インフルエンザウイルス株の変異があったと思います。それは、死亡率の上昇から考えれば強毒化への変異ですが、結果的には感染者は10分の一でした。

 「新型コロナウイルス」の、今回の第5波ではウイルスがデルタ株へと変異し、感染者は多くなっていますが、死亡率は減っています。デルタ株への変異は弱毒化への変異だと思います。それは、強毒なウイルスは、弱毒なウイルスに比較して流行し難いという事だと思います。

 また、「スペイン風邪」では、0〜2歳の乳幼児の死亡が多かったようです。コロナウイルスとインフルエンザウイルスの違いでしょうか。インフルエンザは毎年の様に流行しますから、高齢者には新型インフルエンザであった「スペイン風邪」にもある程度の免疫はあったのかもしれません。一方、乳幼児にとっては、初めてのインフルエンザが「スペイン風邪」だったのです。

 子供たちの「新型コロナウイルス」が、軽症であることに関しては、「もともとは子どもの風邪ウイルスである、これまでのコロナウイルによく感染しているから免疫がある」や、「子どもには「新型コロナウイルス」が侵入し難い」等と考えられていますが、これからの研究・調査の課題です。

 第3回目のワクチンが始まります。「第6波の新型コロナウイルス感染症」を防ぐためにも、予防接種を受けてください。

 このまま収束すれば、また、「日本の力(ちから)」を世界に自慢できます。

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