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NO. 291

新型コロナウイルス感染症 [

2020年12月

 今回の、コロナの山は、“富士山”級のようです。11月11日に、日本小児科学会が、“小児のコロナウイルス感染症2019に関する医学的知見の現状”を発表しました。日本小児科学会のホームページで見ることが出来ますが、一部を紹介いたします。“正しく恐れる”事に役立てばと思います。

◇学校や保育所におけるクラスターは起こっているが、社会全体から見ると多くなく、小児COVID-19症例の多くは家族からの感染である。

 *海外では、学校内の二次感染例が非常に少なかったとの報告が多くあります。

 *米国では、保育所666施設のなかで、29施設で感染が起こったが、二次感染まで起こったのは4施設のみであったと報告しています。

 *日本では、7月から10月21日までに、1352個所でクラスターが発生していますが、小学校は3件で、小学生では家庭内感染が75%に対して学校内感染は2%と少ないようです。

◇小児は成人と比べて感染しにくい可能性が示唆された。

◇小児COVID-19症例は成人例と比べ軽症であり、死亡例はほとんどない。

 *日本国内では10月7日の時点で、10歳未満の患者2112人、10〜19歳の患者4399人で、死亡例はありません。

◇ほとんどの小児COVID-19症例は経過観察または対症療法が選択されている。

 *日本小児科学会が把握している508例で、446例が無治療、5例に吸入ステロイド剤、3例に注射ステロイド剤が使用されただけで、他の治療例は対症療法のみであったそうです。

◇SARS-CoV-2の垂直感染(分娩時に感染)は稀で、児の予後は良好である。しかし、新生児の感染は重篤化する可能性も報告されている。

◇海外の数理モデリング研究や系統的レビューでは、学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しい可能性が指摘されている。

◇教育・保育・療育・医療福祉施設等の閉鎖や大人(養育者)のストレスが小児の心身に影響を及ぼしており、COVID-19流行による周りの環境変化に関連した健康被害が問題となっている。

 *就業や外出制限のため親子とも、ストレスが高まり、家庭内暴力や虐待のリスクが高まることが心配されています。

 

 新型コロナウイルスとの闘いは長期戦となっており、新型コロナウイルスの感染とともに、子ども達の心身への影響が心配されています。出口の見えない闘いが続いていますが、“正しく恐れ、笑顔を忘れずに”、子ども達と遊んであげて下さい。

 

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