NO. 274 新しいたばこの誤飲2019年7月 "けむり" も "灰" も出ない "新しいいたばこ" が出たときに、小児科医の間では、かえって、子どもたちの周りの "たばこ" が増えるのではないかと心配する声がありました。 その心配が、現実のものとなっているようです。 日本では、2016年から全国で、 "新しいたばこ" 煙の出ない加熱式たばこの販売が開始されました。禁煙活動が盛んになり、喫煙率は減少していますが、 "けむりが出ないので、受動喫煙の危険がない" とか "従来の燃焼式たばこより健康リスクが少ない" と誤解されるような宣伝で、 "新しいいたばこ" の販売量は急速に増加しています。世界に先駆けて加熱式たばこの販売を始め、たばこ産業を保護しようとしているのでしょうか。 販売量の増加とともに、 "新しいいたばこ" がこれまでのたばこに比べて確実に子どもたちの周りに増えているようです。 その証が、たばこの誤飲です。日本中毒情報センターの資料による、中毒110番への相談件数によると、2016年1月 には、紙巻たばこ 誤飲の相談が 225件、加熱式たばこ 誤飲の相談が 10件 でした。それが約2年後の、2017年12月 には、紙巻たばこ が 87件、加熱式たばこ が 120件 となっています。 2017年の加熱式たばこの販売量は、たばこ売り上げの12%(2018年には20%余りとなっています)でありますから、加熱式たばこが、いかに子どもたちの誤飲の原因となりやすいかが分かると思います。 何故、加熱式たばこが、誤飲の原因になりやすいかですが、煙も灰も出さないたばこですから、大人たちに安心感というか、気のゆるみがあるのでしょう。 素敵なデザインの箱を子どもの手の届くところに置くこともあるでしょう。また、紙巻たばこは灰皿に捨てますが、加熱式たばこはゴミ箱に捨てるかもしれません。灰皿には注意しますが、ごみ箱にはたばこ誤飲に関する危機感はないかもしれません。 それから、もう一つの問題です。加熱式たばこは、一般的な紙巻たばこの半分の長さであり、子どもが一口で口に入れられる長さとなっています。さらに、日本たばこ産業のPloom TECHは全長約2.4cmのカプセルの中にたばこの葉が入っています。このカプセルを飲み込むと、しっかり1本分のニコチンが、おなかの中で溶けて出てきます。 次は、新しいいたばこの、健康リスク、受動喫煙について書きます。新しいいたばこは、体に優しくも・安全でもないことを、頭に入れておいてください。 |