NO. 269 お母さんの飲酒と喫煙 平成31年2月 「妊婦の健康状態・生活習慣が胎児に及ぼす影響」とする特集がありましたので紹介いたします。(「小児科」Vol.59 No.13 2018からです) 妊娠中のアルコールの赤ちゃんへの影響が医学的に報告されたのは1899年で、120名のアルコール依存症の女性で、妊娠中に飲酒しなかったお母さんの乳児での死亡率が低かったとの報告です。 その後、赤ちゃんへの影響として、中枢神経障害、顔貌奇形、心臓などの臓器障害などが報告されています。 20代女性の飲酒率は約50年前の1968年には24%との報告があります。(昔の女性はお酒を飲まなかったようです。)それが、2008年には90.4%となり、同年代の男性より多くの女性が飲酒をしています。 一方、妊娠中の母親の飲酒経験は、2000年には18.1%でしたが、2009年には8.7%と減少、2013年には4.3%と激減しています。 妊娠中の飲酒は減ってきているようですが、日本では2022年までに、妊娠中の飲酒をゼロにすることを目標としています。そして、米国小児科学会では、妊娠中の飲酒について、安全な量や時期というものはないと警告を出しています。 赤ちゃんがお腹の中にいるときの飲酒は禁です。 次は、喫煙です。“たばこ”の害はだれにでもありますが、特に赤ちゃんへの影響としては、次のような事が書かれています。 出生時の低体重:生まれてくる赤ちゃんの体重が平均150g前後の減少があるとされています。ニコチンにより血管の収縮や狭小化を来し胎盤機能が低下して、赤ちゃんへの栄養分や酸素の供給が減少するとされています。 先天奇形:赤ちゃんの先天奇形と妊娠中の喫煙の調査は数多くあります。 SIDS(乳幼児突然死症候群):乳児期死亡原因の第3位です。喫煙は、うつぶせ寝、非母乳栄養児と並びSIDS発症の三大危険因子とされています。妊婦さんが喫煙していると、SIDSの発生が2〜3倍になるようです。 生活習慣病胎児期発症説(DOHaD):胎児期の栄養不足が、成人期の生活習慣病を発症させるというものです。低体重で生まれた赤ちゃんは、肥満・高血圧・糖尿病・高脂血症などの成人病のリスクが高くなり、お腹の中で一生が決まる可能性があるとの説です。 妊娠中の受動喫煙も、上記と同じような影響が胎児にあります。 お酒も、たばこも、やめようと思っても、簡単にはやめられないと思いまが、妊婦さんや、赤ちゃんの周りの方の協力も重要であると思います。 |