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NO. 268

平成の時代について

平成31年1月

 明けましておめでとうございます。平和な平成でありました。天皇陛下のお言葉にもありましたように、平成が戦争のない時代として終ろうとしています。

 年末に、昨年のNHKの大河ドラマ“西郷どん”の影響を受けて、鹿児島に行って来ました。そして、鹿児島市から、車で1時間の所の“知覧特攻平和会館”を見学しました。知覧は特攻隊員を見送った飛行場のあるまちです。同会館には、1036人の特攻隊員の方々の遺書や手紙が保存され、秋の企画展として“母からの手紙”も展示されていました。外では、すぐ横にある運動場で、少年野球の大会が催されていて、子どもたちの元気な声と、お母さんたちの明るい声が聞こえていました。改めて、平成の平和のありがたさを実感いたしました。

 小児科医の私にとって平成の時代は、少子化と、予防接種の時代でした。

 これまでの日本の歴史で最も多くの子供が生まれたのは、昭和24年の2696638人だと思います。それが、平成元年に1246802人、平成29年には946065人となっています。昭和24年から70年で1/3に減少、そして平成に入ってから3/4の出生数になっています。国を挙げて少子化対策に取り組み、子育て支援の方策をいろいろ行っているのですが、まだまだ結果に表れていないようです。何か妙案はないものでしょうか。

 日本はワクチン後進国と呼ばれていましたが、平成の後半になって、多くのワクチンが定期接種化されて、公費にて予防接種を受けることができるようになりました。平成の時代に、子どもたちの感染症が減少したのは確かだと思います。また、昨年秋、津山では、水痘の流行があり、残念ながら予防接種をしていても水痘に罹ってしまう子どもがいましたが、予防接種をしていれば多くの場合、軽症であったようです。今後、ロタウイルスワクチンとおたふくかぜワクチンが定期接種化されれば、国際標準に追いつくことになると思います。

 任意接種と定期接種の違いは、行政が接種を勧奨し、接種料金を公費で補助することです。予防接種も子育て支援であり、少子化対策の一つであると思います。ロタウイルス・おたふくかぜの定期接種化を早期に望みたいところです。

 今年5月からは、新しい年号となります。私を含め戦争を知らない大人たちが多くなりました。子どもたちと、お母さんたちの元気で明るい声が聞こえる、戦争のない時代が続くことを祈りたいと思います。

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