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NO. 264

めだかのがっこう(作詞:茶木滋、作曲:中田喜直)

平成30年9月

 全音楽譜出版社が発行している「日本童謡名曲集」(編著:長田暁二)には、約140曲の童謡が載っています。その中に、“めだかのがっこう”があります。

 “めだかのがっこう”の由来が、作詞者の子どものつぶやきからと記されています。嬉しくなったので、紹介いたします。

 【昭和21(1946年)年の春、茶木滋(作詞者)が小田原市郊外の農家へ芋の買出しに行った時、一緒に連れていった6歳の息子の義夫君が、田園の中の小川のほとりを歩いていたら「めだかがいるよ」と言いました。茶木は近づいてのぞきましたがめだかの姿が見えないので「あんまり大声を出すからめだかが驚いて逃げちゃったよ」と言うと、義夫君は「ここは、めだかの学校だもん、待ってればくるよ」とつぶやきました。この一言が詩作りのヒントになったのです。昭和25年10月、NHKのプロデューサーから「春らしいのんびりした明るい歌」の作詞依頼があった時、前述のことを思い出して一晩でこの詩を書き上げました。】


 めだかの学校は 川の中   そっとのぞいて みてごらん

   そっとのぞいて みてごらん   みんなで おゆうぎ しているよ

 めだかの学校の めだかたち   だれが生徒か 先生か

   だれが生徒か 先生か      みんなで げんきに あそんでる

 めだかの学校は うれしそう   水に ながれて つーいつい

   水に ながれて つーいつい   みんなで そろって つーいつい

 戦後一年も経っていない時期です。大人たちの心と体は、まだまだ、疲れていたと思います。そんな時の子どもの一言が、大きく心に残っていたのでしょう。
「春らしいのんびりとした明るい歌」にぴったりの「めだかの学校」です。

 子どもの心、子どもの発想は、大人ではマネのできないものです。何の制約もない、真っ白な心から素晴らしいものを生み出してくれます。診療をしていても、ふと楽しいことを言ってくれる子供がいます。

 残念ながら、“めだか”は絶滅危惧種となっており、今の子供たちが、小川で「めだかの学校」を見ることは難しくなっていますが、童謡「めだかのがっこう」は、70年経っても新鮮であり、これからも変わることなく活き続けると思います。
そして、自然の様子は変わっても、子どもの心が活き活きとし、それを受け止める大人の心も優しくあることを祈りたいものです。

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