松尾小児科HPへ ≫ 「今日も元気で」topへ

NO. 244

熱性けいれん

平成28年12月

 子どものひきつけの原因で、一番が“熱性けいれん”です。欧米では人口の2〜4%と言われていますが、日本では8%前後と頻度が高くなっています。

 子どもが目の前でひきつけを起こして、意識が無くなり、体がガクガクふるえ、だんだん顔色が悪くなると、このまま死んでしまうのではないかと、大慌てです。

 “熱性けいれん”への対応について、「子供の神経疾患の診かた:医学書院」から紹介いたします。

 Q1:熱性けいれんが起きたときはどうしたらよいですか

 A1:けいれん発作を起こしたときに大事なことは、あわてないことです。けがをしないように横に寝かせましょう。舌を噛まないようにと口にものを入れてはいけません。多くの発作は5分以内に止まりますので、時計をみて発作が始まってからの時間を確認しましょう。また、目や顔の向き、四肢の動きや左右差などを観察しておきましょう。5分以上けいれん発作が止まらないときは、救急車を呼んで病院を受診する必要がります。

 Q2:再発しますか、予防薬は必要ですか

 A2:約1/3の患者さんでは、熱性けいれんの再発がみられます。発熱時のジアゼパム座薬(ダイアップ座薬)予防投与は、すべてのお子さんに必要ではなく、15分以上遷延する発作を起こしたお子さんや、再発の可能性が高いお子さん行われます。

 Q3:熱性けいれんを起こしたことがある子に解熱剤は使ってよいですか

 A3:熱性けいれんを起こしたことがあるお子さんに、通常より多く解熱剤を使う必要はありません。解熱剤を通常以上に使っても予防する効果はありません。また、逆に解熱剤使用後の再発熱で熱性けいれんを起こしやすくなることもありません。熱を下げることで本人が楽になるようなら、解熱剤を使用することはかまいません。          とあります。

 解熱剤を使うと、また熱が上がるときに発作を起こしやすくなることは無いようです。また、解熱剤を積極的に使って熱を上げないようにしても発作の頻度は変わらないようです。要は、熱性けいれんの既往とは関係なく、“本人が楽になるように、解熱剤を必要なときに使う”でしょうか。

 また、ひきつけの時間が15分以上と長かったり、他の特別な症状がない限りは、一回の熱性けいれんだけでは、次の発熱時に予防的にダイアップ座薬を使う必要はないようです。まずは、あわてない、あわてない、あわてないです。

松尾小児科HPへ ≫ 「今日も元気で」topへ