NO. 239 歩行器 平成28年7月 赤ちゃんの運動発達は、上から下へ、つまり頭から足へとなっているようです。 生後3〜4カ月で“頸定(首が座る)”、生後5〜6カ月で“寝返り”、生後7〜8カ月で“お座り”となります。その後に、“つかまり立ち”“伝い歩き”と続きます。 “頸定”が出来ないと、“寝返り”は出来ないはずですし、“寝返り”が出来ないと“お座り”は出来ないはずです。 時々「この子、お座りは出来るんですが、寝返りをしないんです。」ということがあります。この様な場合は、“うつ伏せ”の嫌いな赤ちゃんであることが多いようです。“うつ伏せ”にすると泣いて嫌がる赤ちゃんは、わざわざ、嫌いな“うつ伏せ”にはなりたくないから“寝返り”をしないのです。“うつ伏せ”の状態で遊んであげると“うつ伏せ”も「いいもんだなと」と「“寝返り”をしてみようかな」と頑張って“寝返り”をするかもしれません。 同じようなことが、「歩行器」を使っている赤ちゃんにも起こります。 まず、小児科医の間では、「歩行器」は事故の原因になるとして、勧められていません。「歩行器」に乗って、段差があると転倒・転落してケガをしてしまいます。 そして、運動発達にも影響します。「歩行器」では楽をして移動できますから、筋肉とバランスの発達に影響するようです。 赤ちゃんは、上ばかりを向いている時とは違う景色を見ようとして、一生懸命になって“寝返り”をします。そして、“お座り”をすると、手を使って遊ぶことができます。“はいはい”をして欲しいものを取りに行きます。そして、“つかまり立ち”をすると、また新しい景色が見えます。この様に、努力をして楽しい世界の発見があるのです。 これが、「歩行器」に乗ってしまうと、簡単に“つかまり立ち”の景色が手に入り、移動も簡単で、欲しいものにもすぐに手が届きます。 “お座り”がしっかりできない時期の“歩行器”は早すぎると思います。まず、しっかり“お座り”ができる筋力とバランスが取れてから乗せてください。 家事などで、手が離せない時に、“歩行器”で安全を確保することはあるかと思いますが、逆に、事故に十分気を付けてください。そして、長時間歩行器に乗っていると、事故の危険性が増すとともに、赤ちゃんの運動発達にはいい影響はないと思います。 |