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NO. 202

ヒト・メタニューモウイルス

平成25年3月

ヒト・メタニューモウイルス(hMPVとします)というウイルスがあります。少し、長くて覚えにくい名前ですが、カッコいい響きで、テレビの番組の主人公のようで、子どもたちに人気の出そうなウイルスですが、なかなか意地の悪いウイルスです。

2001年に発見されたウイルスですが、1958年に採集された血液を検査してみると、全例からこのウイルスの抗体が検出されていて、それ以前からこのウイルスが流行していたと報告されています。
RSウイルスとよく似ていて、重症となる呼吸器の感染症を起こします。 RSウイルスとの違いは、RSウイルスより少し年長の子供、具体的には1~2歳に多いこと、そして、RSウイルスの後に感染のピークが来ること、具体的には、日本では3月から6月に限られていることがあります。

【感染経路】

飛沫感染と手指を介した接触感染で、鼻の粘膜への感染で成立するとされています。 潜伏期は4~6日間、7~14日間はウイルスが患者から排泄されます。

【症状】

1~2歳が最も多く、喘鳴(ゼイゼイ)を伴う気管支炎が主です。症状としては、発熱、咳嗽、鼻汁や呼吸困難、嘔吐、下痢などがあります。当然、小さな子供ほどより重症となります。また、有熱期間はhMPVのほうがRSウイルスより長いようですが、RSウイルスは新生児期から罹ることがありますからRSウイルスのほうが重症児が多くなります。
RSウイルスと同様に何度でも罹り、子どもの呼吸器感染症の 10%前後がhMPVによると考えられています。感染の回数がふえるにつれ、症状は軽症となり年長児や健康成人では上気道感染症(いわゆるカゼ)と推測されています。

【治療】

インフルエンザに対するタミフルのような特別な治療はありません。症状にあわせた対症療法が基本です。呼吸の状態が悪くなれば入院治療が必要となります。 これからしばらくは、ヒト・メタニューモウイルスの季節です。発熱とゼイゼイですが、RSよりは少し安心かな?です。

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