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NO. 189

麻疹輸出国

平成24年2月

 “はしか”、日本では“命定めの病気”、フランスでは“子どもの自慢は、はしかに罹ってから”と言われるほどに、昔から怖い病気の第一番でした。

 日本では1960年頃までは毎年2000人をこえる麻疹による死亡数がありましたが、予防接種が開始され、麻疹の患者、死亡数とも減少しました。2008年には、患者11,012例、死亡1例が報告されています。世界では2008年には年間16.4万人が麻疹により死亡したとされています。一日に450人、1時間に18人の数となります。

 2000年に麻疹を国内から排除したアメリカ合衆国からは、日本は“麻疹輸出国”と批判されていました。2008年、日本は麻疹輸出国の汚名を返上する為に、“2012年までに麻疹排除をする”との目標をたてました。MR(麻疹・風疹)ワクチンの2回接種を開始しました。その効果でしょうか、患者数は、2009年には732例、2010年には455例と減少しています。

 麻疹は、2〜4日間は発熱と咳・鼻水・眼の充血結膜などの症状があるのですが、その間に麻疹と診断するのは困難な場合があります。その間に、他人にうつしてしまいます。特に、麻疹の感染力は強くて、集団1人に患者さんがいると、12〜14人の人に感染するとされています。インフルエンザは1〜2人とされています。

 麻疹の患者さんが発症すると、医療機関はすべての患者さんの状況を保健所へ報告する義務があります。さらに、2次感染の予防の処置などが必要となります。

 最近、麻疹の患者さんがありました。外来での接触の可能性のある患者さんのカルテを調べたのですが、1歳以上の患者さんは全例、MRワクチンを受けていました。今のところ、2次感染は発生していないようです。

 集団発生を予防するには、ワクチンの接種率を95%以上に保つ必要があるとされています。津山市では、この数年、MRワクチンの接種率は95%以上を維持しています。このまま、麻疹の2次感染がなければ、津山のお母さんたちの予防接種に対する姿勢からの贈り物です。日本が麻疹輸出国の汚名を返上するのも間近だと思います。1歳を過ぎたら、そして小学校に入る前の年にはMRワクチンを必ず受けてください。 (麻疹の患者さんは無事、麻疹を乗り越えました。)

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