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NO. 178

離乳食の開始と食物アレルギー

平成23年 3月

 3年前に、“離乳食の進め方”として、離乳食の開始時期は「生後5〜6ヶ月が適当である」、そして、「お母さんがゆとりを持って子供にせっして、“食事は楽しい”ことが大切です。」と書きました。
 今回は再度、離乳食の開始時期についてです。外来小児科学会の雑誌(外来小児科,2010:p446-447)からと食物アレルギーとの関係も含めて書いてみます。
 雑誌では、離乳食開始の時期は6ヶ月が最適としています。根拠としては

1) 栄養の面から:赤ちゃんの体重が7kgになると、母乳(1日800〜1000CCとして)だけでは、カロリーが足らなくなるので離乳食による栄養摂取が必要となる。6ヶ月になると、体重は7kg前後になる。
2) 運動発達の面から:6ヶ月になると支え座りが、7ヶ月になると独りで座れるようになるので、固形物を座位で食べさせてあげることが出来る。
3) 精神発達の面から(これが一番だと思います):5ヶ月前後から家族の食事風景に興味を持つようになる。 

などとしています。
 また、食物アレルギーの点から最近の話題です。
 以前は、両親や同胞がアレルギー体質の場合は、卵など食物アレルギーの原因になり易い食物はなるべく遅く与えるような傾向がありました。
 特に、アメリカでは、ピーナッツアレルギーが多く、3歳まではピーナッツを与えないようにアメリカの小児科学会は指導していました。ところが、最近の研究で、アメリカと同じようにピーナッツの制限をしているイギリスの在住のユダヤ人と、制限をしていないイスラエル在住のユダヤ人では、イギリス在住のユダヤ人の方がピーナッツアレルギーが多いことが分かりました。
 不必要な食物の制限が、反対に食物アレルギーの引き金になっているのではとの疑問が出てきました。2008年から、アメリカの小児科学会ではピーナッツなどの食事の指導は中止しています。
 食物アレルギーに関しては、まだまだ、分からないことばかりです。しかし、あまり離乳食の開始時期が遅いと、食物アレルギーの誘引になる可能性があることを、ピーナッツの話しは示してくれていると思います。
  結局は、赤ちゃんが、大人たちが食事をしている場面に興味を示しだしたら、離乳食の開始時期なのでしょう。

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