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NO. 173
三次検温
平成22年 9月
お盆を過ぎても暑い日が続いています。今回は体温についてです。
体温に関する雑誌を読んでいると「三次検温」という言葉が出てきました。戦前から昭和30年頃までの体温測定の基準の1つであったようです。
まず、日本では体温を腋の下で測るのが一般的ですが、世界では珍しいことのようで、日本、ロシア、ハンガリー、アジアの一部で数カ国だそうです。その他の国は、口の中で測ることが多いようです。
そして「三次体温」ですが、具体的には、腋の下で水銀体温計を使い、最低6分間測定して値を読み(これが一次体温)、さらに2〜4分間、同じ腋の下で測定して前回と同じであれば(これが二次体温)、その値を体温とし、もし二次体温が一次体温より高ければ、さらにもう一度同じ処で測定してこの値(これが三次体温)をその時の体温とするようです。その頃は、体温測定に最低10分間以上かけていたようです。
子どもの体温の年代での比較ですが、どれも腋の下の体温ですが、昭和11年の6歳児の平均が37.13度、昭和33年の6歳児で37.12度、昭和53年(30年以上前ですが)の小学一年生では36.25度となっています。やはり、子どもたちの体温は下がっているようです。クーラーで涼しいところに慣れたからでしょうか。
それでは、現在の世の中で体温の測り方と体温をどのように考えるかですが、「正確な体温が大切ですから、水銀体温計で、三次検温をして、10分以上測りましょう」は、泣いている子どもを10分間も押さえつけて測るのは無理です。
やはり電子体温計です。電子体温計には、実測式と予測式があります。予測式は、計り始めて90秒間の変化から10分後の値を予測するそうです。予測式ですから、測定の条件によって測るたびに値が変わることがあります。
測る側の腕の服を脱がして、腋の汗を拭いて、腋の奥のほうへ体温計を差し込んで、腕をしっかり押さえて測ってください。短時間に測定できますから、何回か測ってみるのもいいと思います。
水銀体温計で、物質は暖かくなると膨張すると習ったような気がします。残念ながら、私を含めて、電子体温計でどうして熱が測れるのかを説明できる大人は少ないですよね。
電子体温計の値は水銀体温計よりばらつきが多いというのが今回の“今日も元気で”でした。
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