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NO. 159

自閉症の英雄のこと

平成21年 7月

 「みんなとはちがった人たち ―自閉症の英雄のこと―」と題する本があります。

  ジェニファー・エルダーさん、自分の2人の息子のうち1人が自閉症であるエルダーさんの書いた本です。

  最近では、自閉症は広汎性発達障害と呼ばれています。この本には、20人の有名な人達が出てきます。人類の歴史を変えるような偉大な発見をした科学者や、多くの人たちに感動を与えた芸術家などです。例えば、科学者のアインシュタインやニュートン、童話作家のアンデルセンや「不思議の国のアリス」を書いたルイス・キャロル、ピアニストのグレン・グールド等が登場します。

  登場する人物は「自閉症」とは診断されていません、しかし、彼らが示したいろんなエピソードが自閉症の特性を示しているそうです。

この本の「まえがき」に子ども心の発達を研究されている内山登紀夫先生の文章がありましたので、(発行者の許可なくですが)紹介させて頂きます。

「自閉症の英雄たち」は自閉症にもかかわらず偉業を成し遂げたのだろうか?
自閉症を克服して偉大な貢献をしたのだろうか?
そうではない。自閉症だからこそ彼らは人類に貢献したのである。

自閉症の特性の本質は「欠点」でなく「違い」である。
自閉症の子ども達の「違い」を欠点ではなく長所として活かす方法を考えることは、われわれ大人の責務である。

この責務の重要さは、本書に登場するような芸術家や科学者に限らず、際立った才能を示さない「普通の」アスペルガー症候群や高機能自閉症の子どもにも、知的障害を伴う自閉症の子どもに対してもあてはまる。

自閉症の子どもも、定型発達の子どもも、もって生まれた特性を素直に生かせるような社会であることが成熟した社会であるし、自閉症の子どもの個性を無理に平均化しようとするより、できるだけ彼らの個性を尊重することが自閉症のためにも社会のためにも有益であろう。本書を読むことによって、自閉症の特性を尊重することの大切さを実感していただければ幸いである。

“みんなとはちがったひとたち―自閉症の英雄のこと― まえがき”より

発行所 スペクトラム出版社 03−5682−7169

 

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