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NO. 157

C型インフルエンザ

平成21年 5月

 インフルエンザらしい病気は、ギリシャ・ローマ時代からあったようです。紀元前412年のヒポクラテスらの書物に「ある日突然多数の住民が高熱を出し、震えがきて咳が盛んになった。たちまち村中にこの不思議な病は広がり、村民たちは震えたが、あっという間に去って行った」という記載があるそうです。

 メキシコとアメリカで発生した豚インフルエンザが世界的な大流行となっています。ヒポクラテスの記載のように「あっというまに去って行った」なら好いのですが。

  インフルエンザにはA型とB型があるのは、よく知られていますが、C型もあるのをご存じでしょうか。最近、このC型インフルエンザも全国規模で流行することがわかってきました。今回は、あまり知られていいないC型インフルエンザの現状について「インフルエンザの最新知識Q&A2009:医学ジャーナル社」からです。

  C型インフルエンザの流行はほぼ1年おきに発生しているようです。特に1月から6月の間が多いようです。7歳までにほとんどの小児が感染し、その後は再感染を繰り返していると推測されています。

  症状は、他のインフルエンザと同じ様に発熱(90%)、咳嗽(74.1%)、鼻汁(61.8%)となります。
最高体温の平均は他のインフルエンザよりはやや低く、有熱日数の平均も2日間で、発熱に関しては、他のインフルエンザより軽いようです。

  しかし、咳や鼻汁はC型インフルエンザの方が激しいようです。特に、気管支炎や肺炎に進展する子供が少なからずあるようです。

  A型・B型インフルエンザは、臨床症状と外来でできる迅速診断キット(鼻に綿棒を突っ込んでする検査です)でかなり正確に診断できますが、C型インフルエンザでは迅速診断キットはまだ無く、一般の外来でC型インフルエンザと診断することは不可能です。

  A型・B型インフルエンザの治療にはタミフル・リレンザがありますが、C型には 効果がなく、対症療法が主となります。

  C型インフルエンザは、現在、一般の外来での診断はできませんから、予想以上に子供達の間に流行している可能性があります。最近、インフルエンザの迅速検査で陰性だがインフルエンザ様の症状で高熱があり気管支炎になってしまう子供が多いような印象があります。C型インフルエンザなのでしょうか。まずは、C型インフルエンザの迅速診断キットの開発が望まれます。

(この時期にインフルエンザの話でしたが、豚インフルエンザはA型インフルエンザです。間違わないようにして下さい)

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