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NO.155

ノロウイルスとロタウイルス

平成21年 3月

 今年のインフルエンザの流行も下火になったようですが、毎冬の感染症にインフルエンザと嘔吐下痢症があります。今回は、冬の嘔吐下痢症の主な原因であるノロウイルスとロタウイルスです。

 冬の嘔吐下痢症は11月〜3月に多くみられますが、毎年の流行に2つのピークがあります。11月〜1月のピークは主にノロウイルスでおこります。そして1月〜3月のピークはロタウイルスが原因であることが多いようです。

 どちらも、おもな症状は嘔吐、下痢と発熱です。典型的な場合は、突然の嘔吐から始まります。嘔吐が激しく元気がなくなり点滴が必要となることがありますが、嘔吐は2日ほどでおさまることが多いようです。発熱は1日から2日までで長くは続きません。

 そして、嘔吐の後に下痢が始まります。下痢は水様から泥状です。白色〜クリーム色となります。飲むたび、食べるたびに下痢が出て、一日に10回以上となることもあります。また、普通は血便となることはありませんが、嘔吐下痢症の経過中に血便が出たら腸重積の合併を疑わなければなりません。

 ロタウイルスはほとんどが6歳までの子供ですが、ノロウイルスは乳幼児から成人、老人までに感染します。特にノロウイルスは病院や老人の入所している施設などで流行することがあり、特に老人の場合は急激な脱水のために重症となることもあります。

 また、ノロウイルスの合併症にけいれんがあります。けいれんの場合には何回も起こったり、意識障害もともなう事があります。

 両ウイルスとのヒトからヒトの感染が多いのですが、ノロウイルスでは食品が原因で発生して、短期間に集中して発症することがあり、特に、生牡蠣(生カキ)等の貝類による食中毒が問題となることがあります。

 下痢は、通常は、1週間ほどで良くなることが多いのですが、子供によっては1か月近く下痢が続く事があります。しかし、嘔吐もなく、食べたり飲んだりが普通で、元気で、体重の増加順調であれば心配はありませんが、経過が長い時には医療機関への受診をして下さい。

 予防は、まずは、十分な手洗いが重要です。ロタウイルスはアルコール消毒が有効ですが、ノロウイルスにはアルコール消毒には完全ではありませんので、両者に有効である次亜塩素酸ナトリウム(ミルトンなど)にて嘔吐などにより汚染されたところ(ミルトンは金属部分はダメです)を十分に消毒して下さい。  3月中は嘔吐下痢症があります。脱水に注意して子供用のイオン水(スポーツドリンクではなくて)などで水分補給をして下さい。

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