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NO.147

無菌性髄膜炎(U)

平成20年 7月

平成14年7月の「今日も元気で」で“津山市では、無菌性髄膜炎が、ビックリするほど流行しています。熱が出て、頭が痛く、おう吐をして、グッタリした子供たちが毎日のように来ています”と書いていました。結局、平成14年の夏は、おそらく平成になって一番、無菌性髄膜炎が流行した年だったようです。

   その後、無菌性髄膜炎の患者さんは少なかったのですが、この夏は髄膜炎の患者さんが少しあります。先月には、夏かぜのウイルスによる「ブツブツ」が多いと書きましたが、無菌性髄膜炎の原因の多くも夏かぜのウイルスです。夏によくある「ブツブツ」の代表選手である「手足口病」でも無菌性髄膜炎を併発することがあります。

 髄膜とは脳の周りにある膜のことですが、そこに感染症が起こってしまうと髄膜炎となります。そして髄膜炎には細菌性と無菌性があります。

 細菌性髄膜炎は、子供の病気のうちでは最重症の疾患です。進行が早く、亡くなってしまったり、重い後遺症を残すこともあります。経過が順調でも1か月近くの入院が必要となることが多いようです。

 一方、無菌性髄膜炎もいろいろな原因でおこりますが、いわゆる夏かぜウイルスによる無菌性髄膜炎の予後は一般に良好で、1週間までの入院で退院できることがほとんどです。

 しかし、無菌性髄膜炎も髄膜炎ですから、始めに書きましたように「熱が出て、頭が痛く、おう吐して、グッタリ」で、重症です。

 熱は、高熱となります。髄膜炎でなければ、解熱剤で熱が下がったときには比較的元気になるのですが、髄膜炎では、熱も下がりにくく、少し下がってもウトウト状態です。

 頭が痛くなります。横に寝かせて、少し頭を持ち上げようとしても痛くて首が固くて曲がらなくなります(これを項部硬直と言います)。お母さんが、抱っこしようと体を持ち上げても頭が痛く泣いてしまいます。触るだけで泣いてしまうこともあります。

 おう吐もあります。咳き込んだり、泣いた後ではなく、グッタリしていて急にゴボッとはいてしまいます。

 無菌性髄膜炎と細菌性髄膜炎の鑑別は症状だけでは困難です。また、無菌性髄膜炎の予防も困難です。この夏は、発熱・頭痛・嘔吐に注意です。

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