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NO.132

リモデリング

平成19年4月

 「リモデリング」:英語の辞書では「改造する」とあります。
 気管支喘息の治療をしている医師がよく使うことばです。
 以前では、気管支喘息は、発作の時には気管支が細くなり息が苦しくなるが、発作が治まってしまえば、気管支の状態は正常にもどると考えられていました。
だから、発作のときだけ治療すれば良いだろうというのが治療の方針でした。

 しかし、最近では、気管支喘息は慢性の病気であり、発作の回数が多かったり、1回の発作が長く続いていると、気管支の筋肉が厚くなり、粘膜が荒れてしまって元に戻らなくなるとされています。
これが「気管支のリモデリング」といわれます。
リモデリングした状態になってしまうと気管支喘息は治りにくくなります。
 治療の目標は、この「リモデリング」を起こさないことです。
発作の回数を減らす事、発作をなるべく早くおさえる事、そして、発作のあとは症状が無くても気管支が荒れていますから、長めの治療をして気管支の状態を正常まで戻してやる事、そうして、「リモデリング」を予防する事が目標です。
そして、長期の管理、長期の治療が必要となります。

 実際の治療は、発作の程度や回数によって違います。

@年に数回の発作 A月に一回以上の発作
B週に一回以上の発作 C毎日の発作

が治療をする際の病気重症度のクラス分けです。

 @の場合は発作の時だけの治療、ABCでは発作が起こっていないときでも予防的な治療が行われます。
 ABCでは当然治療内容が違い、Cでは数種類のクスリが使われます。
では、発作がコントロールされたら、「リモデリング」を予防するために、何時まで治療を続けるのかです。
「発作も無く元気なんですが、まだ、くすり飲むのですか」とお母さん
「はい、発作が無くても3ヶ月は今の治療を続けてください、その後、少しずつクスリを減らしていきましょう」となります。
 気管支喘息の場合には、症状が治まっても医師の指示があるまではクスリを飲み続けてください。お母さんの判断でクスリを止めないで下さい。
 「リモデリング」すると、気管支喘息が大人まで続き、治りにくくなります。