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NO.126

夏休みの宿題(?):「犬と話をつけるには」を読んで

平成18年9月

 2006年6月に文藝春秋から新書で発行された、『盲導犬クイールの一生』のクイールの訓練士であった多和田悟さんの本です。
我が家に7歳になる三太くん(犬ですが)がいます。
絵本を見せながら話しかけると、分かったよう顔をして、お座りをして聞いています。
ドリトル先生のように“犬語”が少しでも理解できるようになるかと思い、表紙だけを見てこの本を買ってみました。
“犬語”の発音方法は書かれていませんでしたが、犬への愛情、そして人間への愛情があふれでている本でした。

 その中の1節です。
【それまでに私が訓練した犬は、盲導犬になる率が八割を超えていました。この数字を盲導犬成功率と言います。
その頃の私は、義務としてすべての犬を「調教」するつもりでいたのです。
・・・・・そしてクイール以降、大勢の目の見えない人たちに関わるなかで、訓練を楽しみに変えることができるようになりました。
いまでは私の盲導犬成功率は三割から四割です。それでなければいけないと思っています。
一番してはいけない間違いは、盲導犬に向いていない犬を視覚障碍者のもとへ送ってしまうことなのですから。・・・・】

 最近の子供たちの関わる事件には、悲しいものが多すぎます。
親からの虐待事件、また、両親への暴力・殺害事件が毎日のように報道されています。
盲導犬の訓練と、子育て・躾をおなじに考えてはいけないですが、子供に十割を求めると、一番してはいけない間違いが起こる可能性もあります。

 例えば、子供の身体・運動の発達には大きな差があります。
生後10ヶ月で歩ける子供もいれば、1歳半で歩くようになる子供もいます。
2歳で体重が9kgの子供や、14kgもある子供もいます。
2歳で元気で、ニコニコと笑っていれば問題は無いのです。
 また、算数の好きな子、体育、国語、音楽とそれぞれ好きな子供、得意な子供があります。
早く歩くようになれ、どんどんいっぱい食べて大きくなれ、算数も体育も国語も音楽も上手になれと、親は期待します。
子供にいろんなことを期待するのは当然であると思いますが、強制をしてしまうと、一番してはいけない間違いとなります。
子供が自分の個性と能力を自由に発現が出来るような環境を整え、期待して見守ってやることが我々の務めであると思います。

この本、一気に読んでしまいました。
次回も、感想文の続きです。