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NO.122水いぼ(伝染性軟属腫)
平成18年 5月
お母さん:「これ水いぼですよね? 取らないと、広がるんですよね、プールに入れないんじゃないですか? でも、取るのは、痛いんですよね?」
私:「はい、これは水いぼです。取らなくても、そのうち無くなります。でも、取らないと、たくさんになったり、保育園でプーに入れないことがあります。でも、取るのは痛いし、全部取ることはなかなか難しく、一度、取ってもまた出てくることがあります。でも、取らないとプールに入れなかったり・・・どうしましょう、お母さん」と言う会話がこれからの季節に多くなります。
“水いぼ”を取るか、取らないかに関しては、いろんな意見があります。
一般に皮膚科の先生は、“水いぼ取る派”が多く、小児科の先生は“水いぼ取らない派”が多いようです。私も、小児科医ですので、出来たら“水いぼ取らない派”ですが、いつも、取る・取らないで悩んでいます。
- “水いぼ”とは
“水いぼ”は伝染性軟属腫ウイルスというウイルスによる感染性疾患です。表面がツルッとして、大きさは1mmから5mm程度です。軟らかくて、摘むと白い芯が出てきます。これが、感染の原因となります。
健常な皮膚には感染することが少なく、切り傷やアトピー性皮膚炎などバリアが低下した皮膚に感染しやすく、腋の下やお腹の横のところなど、摩擦しやすいところに多いようです。そして、“水いぼ”に反応して周りに湿疹が広がることがあります。
- では、どうしたらいいのですか
最近の小児科の“水いぼ”に関する雑誌から。(小児内科38:636、2006)
塩素消毒していあれば、水中感染を起こすことはまずない(スイミングスクールなどでしょうか)。・・・また、プール終了後のシャワー、風呂などで直接肌と肌のふれ合いにより感染すると考えられる。
学校保健法によれば、平成10年度から、伝染性軟属腫はプール可となっており(あくまで学校保健法の話です)、平成15年日本臨床皮膚科学会は、伝染性軟属腫に関して、「幼児・小児によく生じ、放っておいても自然に治ってしまうこともありますが、それまでには長期間を要するため、周囲の小児に伝染することを考慮して、治療します。プールなどの肌の触れ合う場ではタオルや水着、またプールのビート板や浮輪の共用を控えるなどの考慮が必要です。この疾患のために学校を休む必要はありません」としている。
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結局、「絶対に足らないといけない」、「いや、取る必要なんか無い」ではないということです。“取るか・取らないか”は医師と相談して決めてくださいとなりますが。
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