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NO.119食物アレルギー
平成18年 2月
私:「検査の結果では、卵と、牛乳にアレルギーがあるようですね」
お母さん:「それじゃ、ずっと卵は食べられないんですか」
:「今年から保育園なんですが、保育園の給食はどうなるんですか」
食物アレルギーの増加が言われていますが、食物アレルギーにはよく解っていない事が多く、診断や治療方に関して色んな意見があります。そして、お母さんも、我々医師も混乱していることがあります
小児アレルギー学会からが“食物アレルギー診療ガイドライン”が発刊されました(平成17年11月)。今回は同誌を取り上げました。
【1】食物アレルギーとは、原因食物を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状(皮膚、粘膜、消化器、呼吸
器、アナフィラキシー反応など)が惹起される現象をいう。
食物アレルギーにより引き起こされる症状(不利益な症状)には
* 皮膚粘膜症状:かゆみ、じんましん、発赤、湿疹(アトピー性皮膚炎)、眼の結膜充血・浮腫やかゆみ
* 消化器症状:腹痛、悪心、嘔吐、下痢、血便
* 呼吸器症状:くしゃみ、鼻汁、鼻閉、せき、喘鳴、呼吸困難
*
アナフィラキシー反応:即時型アレルギー反応のひとつで、皮膚、呼吸器、消化器などの多臓器に症状が現れ、時に血圧低下などのショック症状を引き起こし、生命をおびやかす危険な状態のことです。
(食物アレルギーといえばアトピー性皮膚炎と思われるでしょうが、いろいろな症状がでます。即時型アレルギーとは原因食物を食べてから15分から2時間以内に起こるアレルギー反応です。アナフィラキシー反応は食物アレルギーの中で一番危険な症状です。)
【2】食物アレルギーの患者さんは、乳児(0歳)の5〜10%、学童以降が1〜2%、成人で1〜2%と考えられています。欧米では、フランスで3.5〜5%、3歳までに限ると6%という報告があります。
(0歳の食物アレルギーが最も多くなっています。だんだん、治っていくのです。)
【3】原因食物は、6歳までは鶏卵・乳製品・小麦が3大原因です。7〜19歳ではそば・えび・小麦、20歳以上では魚介類・えび・そばの順となります。欧米ではピーナッツが問題となります。
(子供で1番多い卵と牛乳は、大きくなれば食べられるようになるのです。しかし、大きくなって新しくアレルギーが起こると治りにくいようです。)
次回も食物アレルギーについてです。
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