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NO.116

テレビ・ビデオのみせ方

平成17年 11月

私が医師になり2年目(昭和50年代です)のことでした。当時は、テレビゲームの始まりのころで、小児科病棟では好ましくは無いが、半年以上も入院するような子どもたちには、仕方ないだろうということで、テレビやテレビゲームが許可されていました。親も子どもたちも競って新しいソフトを買っては遊んでいました。

そんな時に、私が主治医となっていた小児がんで入院している子どもがいましたが、その子のベットにはテレビがありませんでした。そして、お母さんと一緒に、いつもビーズや折り紙で遊んでいました。

ある時、私がどうしてテレビを置かないのですかと聞くと
「この子といつまで一緒にいられるか分からないので」と言われました。新前医師の私には言葉がありませんでした。(その子は今も元気で、年賀状を毎年交わしています。小児科医の私にとっては宝物です。)

「テレビ・ビデオのみせ方」という論文がありました。子どもとテレビの話題になると、必ずこのお母さんと子どものことを思い出します。

ある調査では、生後4ヶ月児の母親の72%が、テレビを見ながら母乳やミルクを与えてる、そのうち「乳児にテレビ・ビデオを見せている親」が48%、そのうち4ヶ月児に1時間以上見せている親が17%。1歳6ヶ月児では「1日3時間以上テレビ・ビデオを見せている」のが27%、「乳幼児向けの市販ビデオをもっている」のが63%でした。

日本小児科医会では具体的提言として次の5項目をあげています。
1) 2歳までテレビ・ビデオ視聴は控える。
2) 授乳中・食事中のテレビ・ビデオの視聴はやめる。
3) すべてのメディアへの接触する総時間を制限する。目安として1日2時間まで。テレビゲームは1日30分まで。
4) 子ども部屋にはテレビ、ビデオ、パーソナコンピューターを置かないようにする。
5) 保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールをつくる。
 

テレビを切って子どもと一緒の時間をなるべく長く創ってください。