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NO.112

日本脳炎予防接種はどうなる

平成17年 7月

前回(111回)で“母乳の栄養”をとりあげ、続編の予定でしたが、今回は、接種にストップの出た、“日本脳炎予防接種はどうなる”に変更です。

“99)日本脳炎の予防接種(平成16年6月)”で日本脳炎予防接種を取り上げ、「日本脳炎の発症は少ないが、ゼロではなく、海外では流行地域もあり、日本脳炎の予防接種は受けましょう」と書きました。

しかし、今回、突然、厚生労働省は5月30日に「重症のADEMの事例の発症」があり「日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨の差し控えについて」との勧告を出し、「積極的な摂取勧奨を差し控えるべきと判断した」と言ってきました。

【勧奨】以前は、定期予防接種は罰則ありませんでしたが、受けることが義務でありました。現在は、予防接種は積極的勧奨であり、接種を受けることを積極的に勧めるが、接種を受けるか受けないかは、本人の勝手ですとなっています。それが、今回は、重症の副作用が出たので積極的には勧めませんが、受けてもいいですよとなりました。こう言われると、現場の医師としては接種を勧める事は難しくなります。

【ADEM】あるウイルス感染症やワクチン接種後に、発熱、頭痛、けいれん、運動障害等の症状がでる疾患です。日本脳炎ワクチンの副作用として70万〜200万回に1回程度発生すると考えられています。ADEMは完全に回復することが多く、良性の疾患とされていましたが、重症のADEMが日本脳炎予防接種後に発症したようです。

【これからどうする】「日本脳炎の予防接種、どうしたらいいんですか」と聞かれます。
@ おそらく、来年の春ごろには、副作用の少ない日本脳炎ワクチンが出来ますから、それまで待ってください。しかし、希望されれば、日本脳炎の予防接種は受けることは出来ます。
A 日本脳炎の流行地域(朝鮮半島、台湾、中国、ベトナムなど)へ旅行する場合には、予防接種をうけることを考えてください。

「念のため、戸外へ出るときは、できる限り長袖、長ズボンを身につける等、日本脳炎ウイルスを媒介する蚊に刺されないよう注意喚起を行う。」(Bは厚生労働省の文書です。国民に不安をあたえる前に、安全なワクチンの開発をしておいてほしかったですね。)