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NO.65

三太クンの医療保険

平成13年 8月

 三太(柴犬の1歳11ヶ月です。)くんは、我が家の三男ですが私の医療保険の家族にはなれませ。三太くんが重病になって、大きな手術をしないといけなくなったならば、三太くんの命と手術の費用を天秤にかける事があるかもしれません。あまりにも高い手術代ならば三太くんには申し訳ありませんが、三太くんに一人で病気と闘ってもらう事になるかもしれません。考えるだけで悲しくなることです。犬の買主として失格でしょうか。

 以前、アメリカ合衆国の医療についての話を聴いたことがあります。ある気管支喘息のクスリの話です。日本では、気管支喘息の子供たちによく使われ、効果は日本の小児科医ならばだれもが認めているクスリです。それが、アメリカでは「このクスリを使うと医療費が○○ドルかかりますが、使いますか。」と親に聞かなくてはなりません。これが、アメリカのいわゆる“インフォームド・コンセント”になるのです。実際に、このクスリがアメリカでは拒否されることもあるそうです。

 日本の医療保険では子供たちは3割負担で、老人や保健の本人よりも医療費の負担は多くなっています。しかし、国民の全員が医療保険に入っており、保険を使って、自由に、自分の望む医療を、自分の望む医療機関で受けることができます。日本の医療体制は世界で一番だと思います。世界保険機関(WHO)という、世界の医療を監視している機関も、日本の健康達成度は世界1位としています。

 今人気の小泉総理は、医療費がどんどん増えるので、医療体制を変えようとしています。実際には、日本の医療費は、国内総生産と比べると、世界で18番目です。アメリカが1番であることを考えれば全く高くは無いのです。

 特に、「この病気の治療はこれこれです。」と政府が決めようとしています。「子供の気管支喘息はこの治療をしてください。これ以上は保険ではできませんから、自分で医療費を払ってください。」となります。

 いろんな意見があるでしょうが、医者は一人一人の患者さんを診ながら、考え、悩みながら、治療をしています。これを、無視した医療になるかもしれません。一番の被害を受けるのは患者さんだと思います。

 改革、改革と叫ばれています。今の医療体制に悪いところもあり、短所を改革すべきでしょうが、長所を改革するのは、改悪だと思います。すくなくとも、今の日本の医療体制は世界で一番と思います。

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