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NO.57

20世紀最後の“今日も元気で”

平成12年 12月

 20世紀最後の12月となりました。暖冬の世紀末、夏に流行る“手足口病”が、まだチラホラとあります。産業革命から始まった20世紀、地球温暖化を先進国がこぞって進めてきた証のような気がします。21世紀には一年中、インフルエンザが流行ることがありませんように、地球にやさしいエネルギー革命を期待したいものです。きっと“ドラえもん”のポケットを子供達が発明してくれるでしょう。

 今回は20世紀を振り返って、1900年頃の数を探してみました。1900年は明治33年です。当然、その年に生まれた人は今年で100歳となりました。

1) 人口  

 1900年の人口は約4400万人で今(1億2500万人)の3分の一です。142万人が生まれています。出生数は、1949年(昭和24年)の年間270万人まで増加し、その後はご存知のように減少しつづけており、昨年度は118万人程でした。1900年の平均寿命は男女とも、44歳前後であったようです。ビックリする平均寿命の値ですが、小児期の死亡と結核による死亡が多かった為でしょうか。

2) 乳児死亡率 

 生まれてきた赤ちゃんが一歳までに死亡する率です。出生1000に対する数で表され、その国の衛生水準をよく反映する指標とされています。1900年にはその数は155.0でした。1000人の赤ちゃんの内、155人が一歳までに亡くなっていました。10人だったら、1人か2人は死んでいたのです。それが1999年には乳児死亡率3.4になっています。アメリカ合衆国は7.6(1995年)。日本は世界一の金メダルです。衛生水準が良い事もありますが、日本の保険医療制度の素晴らしさと、高橋尚子ばかりでなく、産婦人科医、小児科医の努力も誉めて欲しいものです。

3) 死亡順位

 1899年の全年齢に於ける死亡順位は@肺炎A脳血管障害B全結核C胃腸炎D老衰となっています。現在では結核、胃腸炎とも死亡率で見ると、100から200分の一となっており、死亡順位で探す事が出来ません。脳血管障害の死亡順位、死亡率が100年経っても余り変わっていない事は驚きです。

4) 婚姻率と離婚率

 1899年(明治32年)の婚姻率は6.9、離婚率は1.53で、4.5組に1組の離婚の確率です。それが、1960年台には10組に1組と離婚が減ってきていましたが、1999年には婚姻率6.1の離婚率2.0となり3組に1組が離婚しています。結構、明治時代にも離婚が多かったと言う事です。

  

 乳児死亡率の変化を見ると、小児科医は“ドラえもん”に少し近づいたかなと自慢したくなります。次回ももう少し20世紀を振り返りたいと思います。

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