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NO.55

子供の予防接種について

平成12年 10月

  子供の予防接種について

  「JAだより」の10月号に載せてもらったものです。

今、世界では年間300万人以上の子供たちが、はしか、ポリオ、破傷風、百日咳、結核などで命を落としています。その病気の60%は予防接種(ワクチン)で予防できるものばかりです。日本でも、昭和30年代までは、ジフテリアや破傷風でそれぞれ数百人の人たちが一年間に亡くなっていました。現在では、ジフテリア、破傷風とも極めて稀な病気となっています。生活環境が改善されたこともあるでしょうが、予防接種の効果が絶大です。

【定期接種と任意接種】

 定期接種とは、国が勧める予防接種を定められた時期にすることで、公費補助を受けられます。

任意接種とは、おたふくかぜ、水ぼうそうなどの定期接種以外のワクチンを接種することと、定期接種のワクチンでも定められた時期以外に接種することです。任意接種は希望者だけが接種するので自費となります。

 定期接種には生後90ヶ月までに、三種混合の4回、日本脳炎の3回、ポリオの2回、はしか、風しんのそれぞれ1回、そして、生後48ヶ月までのBCGの1回があります。合計で12回も定期接種を受けることになり、定期接種を受けるだけでも結構大変です。特に、小学校入学前には、定期接種の受け忘れがないか母子手帳の予防接種欄をチェックして下さい。これらの予防接種も時期が過ぎれば任意接種として受けることは出来ます。

【女子中学生の風しん予防接種と先天性風しん症候群】

 風しんに対して免疫のない妊婦が妊娠1〜2ヶ月以内に感染すると、白内障・心疾患・難聴などの先天性風しん症候群児が50%を超える高い確率で生まれます。昭和52年から、女子中学生を対象に風しん予防接種が集団で実施されました。平成7年からは、男女の区別なく、“生後12ヶ月から90ヶ月までの者”と“12歳以上16歳未満の未接種者”が接種の対象となっています。

 しかし、主に医療機関に出向いての個別接種となった為に、女子中学生の接種率が非常に低下し、風しんに対して免疫のない妊婦が増えることが心配されています。女子中学生は定期接種の期間に、卒業生は任意接種で是非受けてください。このまま、低い接種率が続くと先天性風しん症候群児の出生が危惧されます。

【副反応について】

 予防接種の役割は大きいのですが、副反応が誇大に取り上げられている傾向があります。はしかワクチンでは10〜20%が発熱しますが、はしかに罹れば100%が発熱し、肺炎や中耳炎の合併もあります。おたふくかぜワクチンでは1万人に1人の割合で髄膜炎になるとされていますが、おたふくかぜの自然感染では10人に1〜2人が髄膜炎になります。このように、予防接種の副反応は病気の自然感染の合併症に比べて僅かなものです。

 予防接種の情報は http//www.wakutin.or.jp でも紹介されています。正しい知識を持って、予防接種を受け、お子さんの健やかな健康を守ってください。

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