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NO.54

三太の誕生日と体外胎児

平成12年 9月

 9月2日は三太君の誕生日です。生後1ヶ月、約3kgで、兄弟と別れて一人でダンボールに入れられて来ました。ダンボールの外に出すと、寂しそうにまたダンボールに入っては横になっていました。でも今は、体重 12kg、散歩の途中で知らない方に声をかけられると嬉しくてたまらないらしく、シッポを振っては飛びついてゆきます。とても番犬にはなりそうではありません。食べ物がないと“おすわり”もしません。しかし、我が家の会話を増やしてくれた事と、“今日も元気で”に出演してくれる事には感謝しております。餌代の働きはしているようです。

 今回は人間の子供の一才について。

 誕生日の頃には、体重が7〜11kg、身長が70〜80cmになります。ビックリするほどに体重・身長ともに大きい小さいがあっていいのです。

 歩けるのは大体3人に1人ぐらいです。伝い歩きが出来れば十分ですが、時々、お座りだけで、抱き上げても足をつっぱらない子供がいます。居ざり児といわれ、歩き始めるのが1歳半近くになりことがありますが、その後の発達には問題ありません。しかし、小児科で健診は受けてください。

 意味のある単語が1つか2つは言ってほしいいところです。稀に、単語が出ない時に、難聴がかくれている事があります。いつもニコニコして活発な子供でしたが、私が一才健診をしてカルテに“呼ばれたら振り向く”と書いてあるのに、一才半で難聴と診断された苦い経験があります。意味のある単語が出ないときには子供が本当に聞こえているか一度試してください。

 母子手帳の一才のところに断乳が出来ているか記入する欄があります。母乳や哺乳瓶でもまだ良いような気がしますが、母乳の栄養分はかなり減っている事は知っておいて下さい。一才前後で鉄欠乏の貧血になることがあります。

 三太君は生まれてすぐに歩けたはずですが、人間の子供は一才でやっと歩けるぐらいです。生まれた時には泣く事と、ミルクに吸い付くことしか出来ません。他の動物に比べて妊娠期間が長いのに、生まれ時は、まだまだ未熟です。この事を体外胎児と言ったりします。胎児とはお母さんのおなかの中の赤ちゃんの事です。他の動物と比べたならば、妊娠期間が22ヶ月ぐらい必要なのでしょうか。妊娠22ヶ月でお産となると、お母さんは大変な事になってしまいます。お母さんとお父さんの為に、赤ちゃんが12ヶ月早く出てくれたと思って、忙しいでしょうが、手が空いたら抱っこをして話しかけてあげて下さい。スキンシップは、特に一才までの赤ちゃんの発達には非常に重要です。

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