NO.43 手づかみ食べと箸 平成11年 9月 子供の発達には、順番があります。また、自分でした事がうまくいくと嬉しくてドンドン上手になります。例えば運動の発達では、首がすわって、寝返りが出来、お座りをして、這い這い、つかまり立ち、伝い歩き、一人歩きです。お座りが出来る前に、つかまり立ちは出来ないのです。また、這い這いをして自分の欲しいものが取れたり、お母さんの所に行けると、もっともっと這い這いが上手になります。 食事のしかたにも順番があります。離乳食の後半から手を使って口に食べ物を運ぶ“手づかみ食べ”をします。腕と指と口の共同作業ではじめて手づかみ食べが出来ます。また、最初は口に食べ物を押し込んでしまいますが、次第に前歯を使ってかみ切ることを覚えます。この時期の手と口の動きの協調が、スプーンなどの食具を使用する動きの基礎になります。手づかみ食べは行儀が悪そうですし、食べ物が散らかってしまい大変でしょうが楽しく食べさせてあげて下さい。自分の手で食べる事は、赤ちゃんの初めての仕事かもしれません。上手に出来るように助けてあげて下さい。 韓国や中国では箸のほかに“さじ”を使いますが、日本料理は箸だけで食べやすいように料理してあり、日本特有の食文化のようです。そして、箸を使う事は日本人の手先の器用さの源かもしれません。しかし、子供の準備が出来ていないのに、無理に箸を持たすのは良くありません。また、子供は母親や保育者と同じ箸の持ち方をする事もお忘れなく。 まずは、手づかみで楽しく食べさせてあげて下さい。1歳近くになると、自然とお母さんの持っている“さじ”に興味を持ってきます。しばらくは、さじという食具を使って食べる事を練習してく下さい。そして、ペンで円を書けたり、はさみが使えるようになったり、ボタンをはめることができるようになるころの3歳から4歳になって、正しい箸の持ち方を教えてあげて下さい。手指の準備が出来ない時から二本の箸を持たせると、うまく使えないので“にぎり箸”になりやすく、これが習慣になると生涯正しい持ち方が出来なくなることがあります。 子供の発達の過程に近道はありません。無理に近道をすると、正しい目的地に着かなくなります。また、赤ちゃんは楽しく自分で出来て、さらに結果も楽しければドンドン上手になります。手づかみ食べの様子を観察して見てください。 |