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NO.31

”おたふくかぜ”と”おたふくかぜのような病気”

平成10年 9月

 2回、3回と耳の下からほっぺたのあたりが腫れると「また、おたふくかぜになった。」と受診されることがありますが、耳のあたりが腫れるのは”おたふくかぜ”だけではありません。"おたふくかぜのような病気"があります。

 まず、”おたふくかぜ”のときに腫れる耳下腺とは何者でしょうか。耳下腺は耳たぶの真下にあり、そこから管が出ていて、口のなかのほっぺたのあたりに開口します。食べ物を消化する唾液を作り、開口部から口の中に分泌するのです。耳たぶの真下を親指と人差し指で前後からつまんで見てください。少しだけシコリを触れます、それが耳下腺です。

 耳下腺の腫れる代表的な病気が”おたふくかぜ”ですが、そのほかに、”化膿性耳下腺炎や反復性耳下腺炎”などがあります。

 まず、”おたふくかぜ”です。”ムンプス”ともいいます。ウイルスによって起こります。潜伏期は2〜3週間で、発熱とともに、多くは両側同時に腫れますが、片側だけで終るものが約25%あります。約1週間で腫脹は消失します。合併症に、髄膜炎があり、10〜65%の頻度と言われます。予防接種の副作用による髄膜炎の頻度とくらべるとかなり高い頻度です。その他、睾丸炎や卵巣炎が合併症としてありますが、小児ではまれです。熱の出る数日まえから耳下腺の腫れが引くまで他の人にうつします。一度、かかると二度とかかりません。

 ”化膿性耳下腺炎”は、開口部から細菌が入って、耳下腺が細菌により腫れる病気です。少し痛いですが、腫れた耳下腺をつまんで揉んでいると、開口部から、膿が出てくるので診断が出来ます。細菌をやっつける抗生物質を飲まないといけません。一度かかると繰り返すことが多いようです。

 ”反復性耳下腺炎”とは年に数回反復して、耳下腺が腫れる病気です。原因は管の一部が拡張しているのではとか、アレルギーが原因ではと考えられていますが、不明です。

 ”おたふくかぜ”にかかると、保育園、幼稚園、小学校を1週間は休まないといけなくなりますが、”おたふくかぜのような病気”のときは元気であれば休まなくてすみます。

 2回目の”おたふくかぜ”にかかった時には、検査を受けて”おたふくかぜ”にかかっているか確かめて下さい。検査で”おたふくかぜ”でなかった時には、予防接種をぜひ受けて下さい。その後に、耳下腺が腫れたなら”おたふくかぜのような病気”です。元気であれば休まなくてすみます。検査で”おたふくかぜ”と診断されれば、その後は、耳下腺が腫れても”おたふくかぜのような病気”です。

 しかし、耳下腺のあたりが腫れる病気には、その他の珍しい病気もありますから、腫れたならば、一度は病院を受診して下さい。

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