NO.29 咳(せき) U 平成10年 7月 今回も咳について書きます。前回は、6ヶ月を過ぎた子供の咳で、気管内異物まで書きましたが、今回は仮性クループと喘息性気管支炎から始めます。 仮性クループは、以前も出ましたが、喉頭という声を出す所のあたりの炎症です。夜に突然、犬とかオットセイのなきごえのような変な咳を始めます。そして、重症になると息を吸う時に、”ヒィーヒィー”といいだします。更に悪くなると、喉頭のあたりは狭い所なので、つばも飲み込めなくなり、牛のようにヨダレをダラダラとだし、元気なく全身がダラーと動かなくなります。直ぐに病院に行かなくてはなりません。 喘息性気管支炎は、生後6ヶ月から2才頃までに見られる症状です。この頃は、気管支が細く、気管支の筋肉も弱いので、気管支炎になると喘息のように息をはくときにゼーゼーとなります。ひどくなると、まるで機関車のように短くゼッゼッといいだします。気管支喘息とは、違う病気ですが、気管支の少し弱い子供がなりやすく、将来、気管支喘息になり易いかもしれませんので、子供がこの病気の診断を受けたら、タバコはやめるとか、犬・猫などのペットは飼わない様にして下さい。 3才を過ぎても、気管支炎やいわゆる風邪による咳が多いのですが、この時期から、気管支喘息と診断される子供が多くなり、また、特別な肺炎に”マイコプラズマ肺炎”が出てきます。 気管支喘息は、アレルギーなどが原因で気管支が急に細くなる病気です。気管支のところの呼吸困難ですから息をはくのが困難となり、息をはくときにヒューヒューとなります。逆に、前に出た仮性クループは”のど”のあたりの病気ですから息を吸うときに、呼吸困難となります。詳しいことは以前に書きましたのでここまでにします。 マイコプラズマ肺炎は異型肺炎とも呼ばれています。高熱が出て、激しい咳が出るのですが、聴診をしてもあまり異状がなく肺炎らしくないのですが、レントゲンを撮ってみるとビックリするような肺炎の影があるので異型肺炎と呼ばれます。この肺炎は年長児に多く、大人でもよくあります。そして、マイコプラズマ菌にあった薬を使うと、ビックリするような肺炎の 影の割には治りがいいのです。 前回も含めて、緊急を要する咳には、生後一ヶ月までの痰のからんだ咳、青くなったり呼吸が止まってしまうような生後6ヶ月までの百日咳、生後6ヶ月までの急性細気管支炎、気管内異物、よだれがダラダラと垂れてくるような仮性クループなどがあります。 |