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NO.28

咳(せき)

平成10年 6月

 咳は小児科の外来で診る、最も多い症状の一つです。前回のおう吐と同様に、咳の原因は年令により違い、病気の悪さも変ります。

 子供では、気管支が細く、気管支の壁が柔らかいので、痰を出しにくく、咳がでやすくなっています。また、咳は痰や異物を出すための生理的な防御反応の一つです。体力が弱って寝たきりになった老人は、風邪から痰を十分に出せずに肺炎になったり、食べ物を気管支に詰めて致命的となったりします。しかし、子供が夜中に寝ながら鼻をつまらせコンコンしたり、せき込んでもどしたりすると可哀相で、病院で”何とか咳を止めて下さい”ということになります。

 生後1ヶ月までの赤ちゃんがゴホン、ゴホンと咳(クシャミではありません)をしたら大変です、病院へ行って下さい。尤も、この年令の肺炎では、咳も熱も無くて、ミルクの飲みが悪かったり、呼吸の数が多かったり(普通は一分間に50回までですが、60回以上は異常です)、なんとなく元気が無い等の症状だけのこともあります。

 生後六ヶ月までの咳では、細気管支炎と百日咳が重症となります。細気管支炎はその名の通りに気管支の一番狭い所の炎症です。冬に多く、1〜2ヶ月の赤ちゃんが、鼻水を出して、コンコンとしていて風邪かなと思っていたら、2〜3日でゼイゼイとなり、呼吸が早くなり、ミルクが飲めなく、息をする度に小鼻がピクピクとなります。この病気はかなり重症で入院が必要です。百日咳は大人でも罹る病気ですが、この時期ではかなり重症となります。はじめは普通の風邪のようですが、だんだんと夜中の咳が多くなり、せき込んで顔が真っ赤になりもどす様になります。もっとひどくなると、せき込んで息ができなくて青くなったり、最悪の場合には急に息が止まります。青くなるほどにせき込み出すと入院となります。このため、三種混合の予防接種は3ヶ月をすぎたら、なるべく早くに受けて下さい。今、津山の東で百日咳の小流行があります。

 6ヶ月を過ぎると、風邪による咳が多くなりますが、重症な咳に、仮性クループ・喘息性気管支炎・気管内異物があります。気管内異物は、口にくわえていたおもちゃや、お菓子などを気管に詰める病気です。遊んでいたり、お菓子を食べていて急にせき込んだときには、この病気を考えないといけませんが、レントゲンで写り難く、治療が遅れる事があります。大人でも、希に同じ様な事が起こります。これからはビールの美味しい季節ですが、勢い良くピーナッツを口にすると、気管に入ってしまう事があります。直ぐにせき込んで出せればよいのですが、時間が経つとだんだんと水分を含んでピーナッツが膨れ出なくなり、気管支鏡や手術までしないといけなくなります。ピーナッツはくれぐれもユックリと口にして下さい。

 この続きは次回とします。

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