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NO.21

ドナー

平成9年 11月

 運動会、お祭りも終わってしまいました。今年の冬は、早く来そうです。いつもは、12月になって流行る嘔吐下痢症がもうチラホラと見られます。気を付けてください。

 ドナーとは、”寄付や寄贈をする人”と言う意味だそうですが、今回は”骨髄移植のドナー”、特に非血縁者の”ドナー”について書きます。

 骨髄移植とは、おもに白血病などの患者にされる治療です。他の抗がん剤治療や放射線治療では、数ヶ月から数年で死亡してしまう患者が受けます。健康な人の骨髄を移植するのですが、骨を切り取ったりはしません。骨の中の血液を、皮膚を通して針で採取し、患者に輸血します。この骨の中の血液を提供する人が”骨髄移植のドナー”です。

 ドナーと患者の白血球の型は一致しないといけません。兄弟姉妹ならば4人の同胞の内1人の確率で一致しますが、日本人の非血縁者間では10万人のドナーがいて約90%の確率で一致します。非血縁者のドナーを集める組織が”骨髄バンク”です。今年の8月末でドナー登録者数は86664人になりました。骨髄バンクをとおした骨髄移植は平成5年1月から始まり、今年の8月で1235例です。最近では、1ヶ月に30〜40例の移植がされています。

 ドナーになるには、自ら骨髄バンクに登録し、そして、全くの健康体でなければなりません。ある患のドナーの候補になると4〜5回は病院などへ行き、説明、診察、検査、採血を受けます。そして、骨髄の採取までは、けがをしないように、風邪をひかないように注意が必要です。骨髄移植の前処置をしたあとに中止となると、その前処置が患者の生命に直接影響を与えるからです。骨髄の採取では、ドナーは全身麻酔を受け、腰の骨から500cc〜800ccの血液を取られます。健康なドナーに全身麻酔をするのですから、医者は麻酔に最も神経を使います。絶対にトラブルは許せません。移植の翌日は、腰がかなり痛いようですが、通常は2〜3日で退院ができます。その後、移植後健康診断やアンケートにより、ドナーのフォローをします。

 非血縁者のドナーは、本当に善意の人です。患者が子供か大人か、男性か女性かは教えてもらえますが、自分の骨髄が誰に移植されるかは知らされません。そして、1回だけは、相手がわからない形で手紙の交換が許されています。

 11月に、県北の方がドナーとなられます。会った事も無い、全く見ず知らずの人に、自分の骨髄をあげるのです。無事に骨髄採取が終わる事を祈ってあげて下さい。

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