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NO.20

ペットと病気

平成9年 10月

 今回は、動物の病気と人間の病気について書きます。感染症は、ウイルスや細菌などの微生物、つまり非常に小さな生き物により起こる病気です。その小さな生き物は、人間が生まれるはるか前から地球上で生活をしており、自分の子孫を増やすために四苦八苦してきたはずです。それが、人間の出現により、人間に害を与える生き物は地球から追い出される運命になりました。その代表が”種痘ウイルス”です。予防注射のはじまりはこの”種痘ウイルス”に対するものでした。そして、世界中で”種痘ウイルス”に対する予防接種がおこなわれて、このウイルスは地球上から消滅してしまい、”種痘”の予防接種はされなくなりました。人間が病気、微生物をやっつけた代表的な例ですし、”種痘ウイルス”にしてみれば人間との関わりさえ無ければ死に途絶える事はなかったのです。しかし、”種痘”の予防接種がされなくなり、”種痘”にたいする抵抗力がなくなった時に、”種痘ウイルス”が出現すると、多くの人間が死亡する可能性があります。

 地球上には、無数の微生物がいますが、そのすべてが、人間の病気を起こすわけではありません。人の、腸の中、鼻の中、口の中には沢山の微生物が生きており、人と共存しています。普通に共存しているそれらの微生物がいなくなり、よそ者が縄張りを利かせ出すと、大変な事となります。また、人間に非常に害があり、人間を死亡させてしまうものでも、人間以外の動物にはなんら害の無い物もいます。その代表的なものが,”Oー157”という大腸菌です。牛などの腸に居るときには全く問題ないのですが、人間に取り付くとたいへんなことがおきます。

 犬、猫などのには、彼らにはなんらの病気も起こさない微生物が多く住んでいます。ネコひっかき病(ネコ)、イヌ・ネコ回虫症(イヌ・ネコ)、オウム病(インコ・文鳥など)、クリプトコッカス症(ハト・小鳥など)、サルモネラ症(カメなど)、アメーバ赤痢(カメ・サルなど)などの病気があります。ネコにひっかれたり、動物の排泄物などが口から入ったり、吸い込んでうつる病気です。これらは珍しい病気ですが、動物を飼っているときには頭の片隅において置かないと行けない病気です。

 動物たちは、こどもの感情を豊かにし、こころのやさしさを育ててくれますが、思わぬ病気をもらう事もあります。ネコちゃんをいじめて引っかかれないように、動物たちの排泄物はきちんと処理して下さい。動物を飼うとともに、彼らについている微生物も上手にコントロールして下さい。

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