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NO.7

細菌とウイルス

平成8年 9月

 今回はいろんな病気の原因となる細菌とウイルスについて書きます。

 子供の熱の原因に大きく分けて”感染症・膠原病・ 悪性腫瘍”があります。”膠原病・悪性腫瘍”は、熱が何日も続く場合には気を付けないといけない病気ですが原因は不明であり、まれな病気です。そして、熱の原因の多くは”感染症”です。原因は微生物であり、カビ、細菌、ウイルス、その他があります。

 細菌の大きさは1000分の1から20mmの大きさで普通の顕微鏡でみえますが、ウイルスはその100分の1ぐらいで電子顕微鏡でないと見えません。細菌の形は球状か棒状ですが、ウイルスはいろんな形をしています。

  細菌とウイルスの一番の違いは増殖するときの様子です。ウイルスは人間の細胞などの中でしか増える事ができません。細胞の中でドンドン増殖していき、最後に細胞を破って散らばっていき、また他の細胞に入り込み破壊して害を与えます。なかには、エイズウイルスのように細胞の核の中に入り長い間かくれていたり、細胞の働きを押さえてしまうウイルスもあります。一方、細菌は栄養や温度などの条件さえととのえば自力で増殖をします。いろんな毒素を出したり、直接に周りの細胞などを破壊して悪さをします。

  細菌をやっつけるには抗生物質という薬があります。細菌には沢山の種類があります。また、Oー157の様に大腸菌のなかにも色んな種類があり、薬の効き方も違います。さらに、新しい薬が出来れば、それに対抗して細菌も変身して強くなったりします。しかし、現在のところは、人間のほうが賢く何とか細菌をやっつけています。

 ウイルスの病気は、はしか・風疹・水痘・おたふく・インフルエンザや今は無くなった天然痘などがあります。これらは、罹ってしまえば人間の抵抗力で対処するしかありませんでした。ですから、天然痘で多くの人が亡くなり、今でもはしかやインフルエンザで亡くなる人もいます。そこで、人間はウイルスにたいしてはワクチンを発明しました。ワクチンで天然痘は地球上から無くなりました。また、はしかのおおきな流行はありません。そして、ワクチンでは対応できないウイルスにたいしては薬が研究・開発されています。現在、水痘にはよく効く薬がありますが、他のウイルスには薬はありません。しかし、ウイルスは細菌なんかと比べようも無いくらいにしたたかで、しつこい生き物です。薬を作れば作るほどに強くなり、恐竜がいん石で全滅したように人類が自分で作った薬でウイルスを強力にし、ウイルスに撲滅さられる日が来るかもしれません。恐い生物です。

(百日咳が流行っています。3種混合を受けてないお子さんは受けて下さい。)

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