〜空極の育児支援 病児保育の安全と安心を求めて〜 |
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今年も
全国病児保育研究大会が7月16日、17日に国の重要文化財である大阪市中央公会堂で開催されました。あいにく雨となりましたが、2日間でのべ800名の参加があったそうです。少子高齢社会を迎え、未来を担う子供たちの健全な育成を願って設立された全国病児保育協議会の加盟施設も356施設となったそうです。今回の大会では病児保育の‘安心’と‘安全’がテーマとなりました。病児保育事業に携わっている関係者は、子供の安全を守り、‘保育看護’の質を高め保護者の方と子供たちに安心を与えることができるようになる必要があります。第1日目の基調講演では、帆足栄一先生の「病児保育におけるリスクマネジメント」、教育講演では大阪大学人間科学部西沢哲先生の「子供のトラウマ」がありました。第2日目では関西医科大学の金子一成先生の「大学病院小児科としてのアメニティ」では子供の環境が具備すべき条件10ヶ条にまとめたEACH憲章(病院こどもヨーロッパ協会)が紹介され、ロンドン大学小児病院をはじめとする先進国の様子をカラースライドを用いて話されました。そして、一番関心を集めたのが、「知って得するお薬講座」。多くの保育士さんにとって、子供たちとの関わりかたには経験や知識があっても、薬の扱い方、飲ませ方は大きな問題のようで、講演の後の相談会には200名の質問者があったそうです。午後からは分科会に分かれテーマに沿った各施設の発表を聞きました。今回は、
「知って得するお薬講座」、「保育看護」、「リスくマネ
ンジメント」についてお知らせします。 |
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‘知ってとくするお薬講座’に参加して |
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*薬は正しく保管
・薬は決まった場所に
・子供の手の届かない場所に
・内服薬、外服薬は区別する
・薬は処方期間内に飲む
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・日光、高温、湿気はさける(缶に入れる時は乾燥剤を入れる)
・薬以外のものと区別して保管(食品、殺虫剤、防虫剤とは別に置く)
・症状が似ていても前にでた薬を飲む前に医師に相談する
・一般の薬は冷暗所に保存する(室温15℃〜25℃で、直射日光の当たらない所) |
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*冷蔵庫に入れるとなぜだめ
湿温との差があるため出した時結露して、湿気てしまい
あまり低い温度で保存すると薬の成分が変わってしまうため。
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次のものは冷蔵庫で保存する必要があります
シロップ、座薬、点眼欲 |
*薬の飲み方
食前・・・食事の30分前
食間・・・食後2時間後、朝食と昼食の間
食後・・・食事の後30分以内
食直前・・・食事のすぐ前
寝る前・・・寝る30分〜60分前 |
*安全に使用できる有効期限、使用期限
・散在、クリーム、坐薬、軟膏→6ヶ月〜1年
・カプセル→6ヶ月〜1年
・ソフトカプセル〜3ヶ月〜6ヶ月
・目薬→開封してから1ヶ月
これらは目安のため詳しいことは医師に相談してください |
*薬の中毒事故を防ぐ9ヶ条
@整理整頓する
A保管場所を決める
B容器を移し変える
Cラベルをはがさない
D薬は家族が保管する
E冷蔵庫に薬品を入れるときは食品と同じ所に置かない
F内容不明の薬は捨てる
G薬は混合しない
H使用方法を守る |
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‘保育看護’の話を聞いて |
(保育士 Y・K) |
・病児保育をしている方の一日の仕事の流れや病気をもった子どもの急な体調の変化にどう対応しているかの発表を聞きました。
・まず病児保育なので‘保育士’‘看護士’が協力していくことが第一だと感じました。‘保育士’だからと言って子供との関わりだけではなく、病気を持った子どもが来るので、その病気を知り、看護の勉強を少しでも知り、理解する。‘看護士’は看護だけでなく、子供の見方を学び、今何をやりたいと思っているのか、子供の気持ちを知っていくことが病児保育をする上で必要だと感じました。 |
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☆(子供の少しの体調を見逃さないために) |
・ 目で見る
・ 手で触る
・ 耳で聞く
・ 鼻で嗅ぐ
・ 気持ちを汲み取る
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= 五感で感じ取る |
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分科会‘リスクマネジメント’から |
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<病児保育室のおける防犯対策 〜まなこどもクリニック〜> |
【問題】
・子供の対する凶悪な犯罪が多発
・病児保育中に不審者が保育室へ侵入することの増加
・来訪者へのインターホンでの確認不足
・施錠忘れ
【対策】
・不審者侵入時におけるクリニックと保育室での連絡方法
・スタッフの役割分担
・子供の安全確保
・避難場所
・警察への連絡方法
・事後処理後の保護者への連絡及び児の引き渡し手順
・保育室内に防犯ブザーを新たに設置する
・保育室を利用している出入り口のドアの鍵をオートロックにする
・インターホンもカメラつきの変更する
・子供の避難場所のドアには防犯フィルムをはることで、ガラスが割られないようにする
【結果】
・子供への安全確保について考える機会が多くなった
・防犯に対する意識を高めることができた
・事件発生時に各スタッフの役割が明確になった
・オートロックのすることで、施錠忘れが減った
【今後の課題】
子供のお迎えが集中する夕方の時間帯など、お迎えの人と一緒に不審者が侵入してくる危険性も考えられるので、インターホンによる確認では氏名などのほか、インターホンのカメラで不審者が周囲にいないことを確認後にドアを開けるように徹底する。防犯マニュアルに沿った対応ができるように定期的な訓練の必要性もある。
☆起こってからでは遅い
☆社会の動きを利用することもできる |
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<ひかり病児保育園における個人投薬確認表作成の経緯
(与薬アクシデント0に向けて) 〜ひかり病児保育園〜> |
【問題】
・薬の飲み忘れ
・朝の二重与薬
・他の子供の薬と区別がつかなくなった
・開園当初は保育士だけで行っていた
・投薬した記録はあるが、誰が与薬したかの記録がなかった。
・内服薬の包数、色、効能等把握していなかった。
【対策】
・看護師と保育士の二人で必ず投薬確認をする。
(その際に個人投薬確認表を活用する)
・薬、内服サンプルを保育室の目のつきやすい場所に貼付する。
・保護者との薬の確認を確実にする。
・申し送り
・看護師との連携
・朝、二重与薬にならないようにする
・処方薬すべて持参してもらうようにする
・与薬後の袋を変えるまで保管しておく
【結論】
結果、薬の内服に関する問題、トラブルも減少した。
今後の創意工夫をして、確実な与薬を心がけていかないといけない。 |
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<当施設内における感染防止対策について 〜病児保育室プリエ〜> |
【感染対策内容】
この施設では感染対策として、一般保育室とは入口からトイレまで別になり、個室二つを備えた隔離保育室がある。(シャワー室付)
・感染症の児に接する時には、マスクとガウンを使用する
・擦式消毒薬を保育室の各所に設置
・手袋も使用
・壁などはアルコールを使用
・玩具は共有しない
・冬は床が冷たいのでマットを使用している
・職員の健康管理
・保育の手順
・床、玩具をエタノールで消毒
・疾患ごとに感染経路を確認 |
(保育士 Y・M) |