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NO. 212

3+2 は「ありがとう」

平成26年3月

 “ リンゴを3つもっていました。 2つもらいました。”

 私の甥が小学校1年生の時の夏休み帳“さんすう”の答えです。

 

 かっぽう着姿の若い女性(小保方さん)の研究が世界的な科学雑誌“Nature”に発表された時、私は甥の“さんすう”を思い出しました。

 “Nature”に、最初に投稿した時には、「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄している」と酷評され、掲載を却下されたそうです。

 常識では考えられない方法での研究だったから、常識で固まっている大人には理解できなかったのでしょうか。それが、一気に世界中で注目される研究成果となりました。(現在、小保方さんの実験方法で同じ結果が出るか、いろんな研究機関で再実験されていますが)

 40年前、私は学生で、甥の夏休み帳の点検を頼まれた時、“ありがとう”の答えを消しゴムで消してしまいました。

 “ありがとう”を見たとき、「楽しくて、素晴らしいい答え」とは思ったのですが、消してしまいました。

 常識的には、「×」ですし、小学校の先生が喜んでくれるか、それとも、甥が「×」をもらって悲しむか悩みましたが、消しゴムでけしてしまいました。今、思えば、つまらないことをしてしまいました。小学校の先生の楽しみも奪ってしまいました。

 診察室では、「先生あのね」が沢山あります。それが楽しくて、小児科医をしています。子ども達には、多くの不思議があり、そして、多くの夢があります。子どもの発想には、常識の大人ではかないません。

 みなさんも、子ども達の「お母さんあのね」を大事にしてあげてください。聞く側にも、心のゆとりと時間のゆとりが必要でしょうが、「あのね」に大人たちが一生懸命に応えたら、子どもは、目を輝かせて新しい「あのね」を発見するでしょう。そして、ノーベル賞級の「あのね」が生まれるかも知れません。

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