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NO.152

チャイルドシート

平成20年 12月

 先日(11月26日)、朝日新聞に
 「小児救急 お寒い体制 1〜4歳死亡率主要13カ国ワースト3位」とありました。

 1歳までに亡くなる子供の数は(乳児死亡率)は世界一少ないのに、1〜4歳になると死亡率はグンと悪くなってしまいます。朝日新聞では、その原因の一つに小児救急の専門施設の不備と専門医の不足を挙げていましたが、ここでは、朝日新聞に向こうを張って“チャイルドシート”を原因として挙げたいと思います。

 最近、日本小児科学会などでは、2000年にチャイルドシートの使用が義務化されているのに、その使用率が低いこと、さらに誤った使用方法が多いことを問題として、チャイルドシートの使用率の向上と正しい使い方の普及を目指しています。

 1〜4歳の死亡原因の1位は不慮の事故です。そのなかで交通事故が4割近くを占めています。衝突事故による無駄な死を減らそうと、チャイルドシートが義務付けられたのですが、使用率は50%以下です。さらに、間違った使い方をしているのが99.7%とビックリするような状況です。その為、チャイルドシートが義務化されても、車の衝突による子供の死亡は減少していません。正しく使用されれば、乳児用チャイルドシートによる死亡率の低下は71%と推測されています。

 まずは、購入ですが、リサイクル使用が増加していますが、アメリカでは使用年限は5〜6年と推奨しているようです。日本では、2003年に安全基準が新しくなっていますが、安全基準にあった使用期限に注意して下さい。

 1歳まで、また1歳を過ぎても体重が10kgまでは、後ろ向きでチャイルドシートにベルトが内臓(ハーネス仕様)してあるものにして下さい。後ろ向きの方が、衝突時の衝撃を体全体で受け止めることができ、特に首や脊髄への衝撃を軽減できるようです。
 体重が18kgまでは、前向きでもハーネス仕様にして下さい。

 法律ではチャイルドシートは6歳まで義務とされており、6歳を過ぎれば大人用のシートベルトを使用と勘違いしそうですが、6歳を過ぎても体重が36kgまでは適切なチャイルドシートを使用して下さい。簡単なブースターシートでも効果は有るようです。

 チャイルドシートを着ける位置ですが、後部座席が一番安全です。助手席、特にエアーバックが装備された助手席には絶対にチャイルドシートを着けないでください。


 チャイルドシートを正しく使用すれば、「1〜4歳死亡率主要13カ国ワースト3位」の汚名も返上できるのではないでしょうか。次回もチャイルドシートについて。

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