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NO.129

幸福論

平成19年1月

 「機嫌が良いこと、丁寧なこと、親切なこと、寛大なこと、等など、幸福はつねに外に現れる。
歌わぬ詩人というものは真の詩人ではない如く、単に内面的であるというような幸福は真の幸福ではないであろう。
幸福は表面的なものである。
鳥が歌うが如くおのずから外に現れて他の人を幸福にするのが真の幸福である。」
 「我々は我々の愛するものに対して、自分が幸福であることよりなお以上の善いことをなし得るであろうか。」


 明けましておめでとうございます。
年末には、雪遊びのための大雪を、そして、元旦には穏やかな日和を神さまはプレゼントしてくれました。
 今年は、“亥(いのしし)”です。
かわいい“戌(いぬ)”とさよならは少しさみしい気がしますが、子供たちが力強く走り回ってくれる一年であることを願いたいと思います。

 上の文章は、三木清の「人生論ノート」の「幸福論」の一文です。
 三木清(1897〜1945)は兵庫県たつの市の生まれです。
たつの市は童謡「赤とんぼ」の作詞者である詩人三木露風の出身地でもあります。
城下町であり、市街では武家屋敷、白壁の土蔵が今なお残っており、「播磨の小京都」と言われています。
また、ヒガシマル醤油など、多くの醤油製造会社のある街です。10年近く前に、たつの市の霞城館(かじょうかん)で「幸福論」に出会いました。

 2006年「今年の漢字」は「命」でした。
2006年はいじめによる自殺や、虐待による傷害・死亡など一つしかない「命」の重さ、大切さを改めて感じさせた年でした。

 子供たちの幸福は、われわれ大人の幸福の源です。
そして、子供が幸福になるためには、まず、われわれが幸福を感じ、それが子供たちに伝わらないといけません。

 赤ちゃんは、生まれてすぐに大人の表情を感じ取ることが出来ると言われています。
大人が、泣いた顔をすれば泣き顔に、怒った顔をすれば怒り顔、笑った顔を見れば赤ちゃんは微笑みます。

 大切な命が守られる年でありますように、皆さんが幸福でありますように、そして、皆さんの笑顔が子供たちの笑顔の源となる一年でありますように。