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NO.102

日本の医療は金メダル

平成16年 9月

アテネオリンピックも今日(29日)で最後となりました。日本の選手達の活躍で楽しいオリンピックでした。アテネとの時間差が6時間でなく3時間なら楽しみも2倍だったと思いす。でも、みんな、頑張ってくれましたね。

アメリカの成績が、当初は振るはず、イラク戦争をしているので、オリンピックどころではないのかと思いましたが、最後には、やはり「金・銀・銅」ともブッチギリのトップになっていました。

WHO(世界保健機関)という機関があります。「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達する事。」を目標としている組織です。そこでは、日本の医療はダダントツの世界第1位「金メダル」です。アメリカは第37位です。

日本では、国民の皆が公的な医療保険に入っていて、「だれでも、どこでも、いつでも」医療を受ける事ができます。しかし、アメリカでは4000万人の国民が保険に入っていないのです。日本では、考えられない事です。そして、アメリカでは、保険の種類によって受ける医療、つまり、お金の有る無しにより受ける医療の質と量が違うのです。その事を、納得して医療を受けるのがアメリカでの「インフォームド・コンセント」なのです。

日本の医療費が高いとマスコミは言います。一人あたりの医療費は、世界で7番目です。国内総生産(GDP)との比率では第19位です。

日本では1人年間21回医療機関を受診しています。アメリカでは5.3回、スウエーデンでは2.7回です。1回の医療費は日本では7000円(保険があるので窓口での支払はもっと少ないです)、アメリカでは6.2万円、スウエーデンでは8.9万円です。欧米では医療費が高いので病院を受診する患者さんが少ないのですが、日本の患者さんは世界一安い医療を平等に受けています。

ニューヨークで虫垂炎(盲腸)に罹ると、1日の入院で243.9万円いりますが、日本では7日間の入院で44.8万円です。アメリカでは入院費が高いので1日で退院して、病院の近くのホテルなどから通院するのです。

これでも、日本の医療費は高いのでしょうか?

小泉首相は、金メダルを取ってきた日本の医療を捨てて、世界第37位のアメリカの医療を取り入れようしています。アメリカの医療を牛耳っている民間の医療保険会社や民間の病院の外圧に負けようとしています。日本の国民、特に子ども達にとってはイラク戦争に匹敵する悲劇となるかも知れません。社会の歪は、常に、弱い者を犠牲にしてきました。(岡山県医師会報を参考にして)